伊東競輪GⅢ「第9回国際自転車トラック競技支援競輪」は、25日から28日まで4日間にわたって開催される。短期登録選手制度で来日した外国人選手が4日制のGⅢに登場。ブフリ、グレーツァー、トルーマンの3選手が強力連係で上位独占を狙う。日本勢では阿竹智史が近況充実。徳島同士でスピードある小川真太郎との連係から浮上も。野原雅也は勢いづく同県の後輩・小森貴大の仕掛けに乗ると出番。関東の新鋭・森田優弥の積極先行にも注目。
 
 28日の第9Rで実施されるのが「ガールズケイリンインターナショナル」。グロ、ファンリーセンの外国人選手2人と小林優香ら日本人選手5人が白熱のバトルを見せる。

 

連覇狙うブフリ!!日本勢は阿竹


 4日制の国際トラック競技支援競輪に外国人選手が参加するようになって4回目。過去3回(16年9月玉野、17年6月大垣、18年6月取手)はいずれも外国人選手が優勝。初回と2回目はパーキンス、昨年の3回目はブフリがVをゲットした。決勝には出場した3人の全てか、少なくとも2人が進んで外国勢で強力ラインを形成。日本人選手を圧倒的ハイパワーで退けてきた。今回は前回覇者のブフリと、初出場の前回に5着だったグレーツァー、ここで初出場となるトルーマンの3選手が参戦。決勝での結束と1着ゴールを目指して熱い走りを見せる。
 
 少しだけ気になる点を挙げるとすれば日本でのレース勘。3選手は3月下旬に来日し、ここまでにまだ1場所しか走っていない。初戦では3人とも予選、準決を1着でクリアして決勝に進んだが、V奪取は成らなかった。いずれも昨年(4月から9、10月まで)に続いての来日。逃げて2着のグレーツァーはいいとしても、約半年ほどのブランクの後でスタートからエンジン全開とはいかなかった面も。2戦目となるここで、どの程度まで競輪の勘を戻せるか。年に1度しか走る可能性のないGⅢは獲得できる賞金額もFⅠより高い(決勝1着は本賞金で290万円)だけに、しっかり仕上げて挑みたいところ。
 
 本命は連覇を狙うブフリに期待。リオ五輪ケイリンの銀メダリストで、新田祐大が2位となった今年の世界選ケイリンの覇者。日本の競輪も今年が5回目の来日で経験豊富。脚力がケタ違いなだけでなく、ヨコの対応も柔軟にこなせる。昨年の決勝はボス―グレーツァーの前で自力勝負。打鐘7番手から外を強烈に踏み上げて押し切る文句なしの内容で勝利を手にした。ここでも本来の強さを発揮し、今年初戦の決勝で5着となったうっ憤も一気に吹き飛ばすか。
 
 グレーツァーは18年世界選スプリント王者。昨年は初来日ながら結果を残し、FⅠで8V。強さはブフリに引けを取らない。外国ラインの3番手を回った昨年の決勝は5着。日本人選手に内からけん制され、前に踏み込む勢いを殺されてしまった。今年はその経験も踏まえて運び、しっかり実力を成績に結びつけたい。
 
 トルーマンもグレーツァーと同様に昨年が初来日。FⅠで3回の優勝を決め、まずまずの戦績を残した。年齢は22歳と最も若く、国際大会では18~19年ワールドカップ第4戦チームスプリントで2位の実績。確かな脚力で好勝負を演じる。
 
 日本勢では阿竹智史の好調さが目を引く。昨年10月の落車で左鎖骨を骨折。長期欠場から今年2月に復帰すると好走を続け、3場所目の玉野記念で約7年ぶりとなるGⅢ優勝。前走大宮FⅠでは決勝でトルーマンと対戦し、うまい運びで堂々の逃げ切り勝ち。同県後輩の小川真太郎との連係が望めるここも浮上の期待は十分に持てる。小川は昨年10月別府FⅠで、完全Vのブフリと2度対戦(準決2着、決勝4着)。その経験をここで生かしつつ勝機を探る。
 
 野原雅也は徹底先行で勢いづく小森貴大と同県で連係できればチャンスが膨らむ。差し脚に切れのある稲川翔も近畿では気になる1人。関東の新鋭・森田優弥も積極策で強力・外国勢に挑戦。同県の阿部大樹や地区の追い込み型で点数上位の稲村成浩らとの連係で持ち味を発揮したい。
 

グロ強し!!負けるな優香&りゆ


 「ガールズケイリンインターナショナル」は外国人選手2人、日本人選手5人による一発勝負。男子GⅢと同様、外国人選手のパワーが優勢と言える。中心は今年の世界選スプリントで銅メダルを獲得したグロになるか。来日は昨年に続き2回目。昨年は19歳という若さもあってか、初戦の立川では組み立てに戸惑い決勝進出に失敗。それでも2場所目からはうまく要領をつかんで本領発揮。2場所連続で完全Vを決め、その後の2場所も初日と2日目の予選は全て1着。決勝でも確定板を外さずに安定した走りを見せた。今年初戦の弥彦は外国人選手1人での参戦だったが山原さくら、野本怜奈、坂口楓華らを相手に難なく3連勝。まくりを基本にした仕掛けで、ここでもしっかりと強さを示すとみる。
 
 10年バンクーバー五輪スピードスケート1000㍍銅メダリストのファンリーセンは今年が3年連続3回目の来日。「ガールズケイリンインターナショナル」は昨年も出走して4着。そのほか、昨年は5月から6月までに4場所を走って優勝は1度もなかった。ただ、今年は初戦の豊橋でいきなり完全V。今年が初来日のゴドビー(アメリカ)や奥井迪、鈴木美教らを下した。準決では〝先行日本一〟奥井を相手に最終Hから出て先制。まくりだけに頼らず、早めのスパートで押し切って戦法の幅を広げた。グロとの力勝負は、ほぼ互角と言える。うまく仕掛けて押し切りを決めたい。
 
 日本のトップとして外国勢撃破を狙うのが小林優香。競技に専念して日本のレースを走る機会は少ないが、昨年7月以来の出走だった3月大垣ガールズコレクションでは児玉碧衣、石井寛子らを力でねじ伏せて実力を誇示した。昨年のこのレースは3着。優勝したデグレンデルと2着のモートンに敗れたがファンリーセンには先着している。来日を予定していたモートンが膝のケガで欠場となったことは残念だが、外国勢2人を相手に1着ゲットなら自信を深めることにつながる。日本選手最強のパワーを武器にして難敵に立ち向かう。
 
 太田りゆもナショナルチームの一員として、小林同様に競技中心の生活を送る。デビュー2年未満の選手7人が出走した今月14日の高知フレッシュクイーンでは4着。思うような結果が残せなかった分も、この一戦に強い気持ちを込める。
 
 石井貴子(千葉)や荒牧聖未も勝負強さを発揮すると上位に進出。地元での一戦に燃える鈴木奈央も気合の走りで浮上を狙う。