地元エースの熱さに感銘


 ランチを終えいよいよ別府競輪場へ。
 
 取材当日は一般戦の最終日。これまでの競輪経験を聞くと、斉藤は「映画監督の江口カン氏と親交があり、競輪を題材にした映画〝ガチ星〟が好き」と明かしたが、別府競輪にはこの日初めて足を踏み入れた。そして「競輪を見ることも競輪場に来ることも初めて」という高木と海月は文字通りのビギナーだ。
 
 場内各所には、別府が国内屈指の温泉地であることにちなんだ「サマーナイトフェスティバル」のキャッチフレーズ「ココロ、沸かせ!」が踊る。キッズルーム「ふれあいルーム」などを備え、大きく改装した真新しい場内に、高木と海月から思わず「キレイ!」の声が漏れる。
 

 一行が場内に案内されると、地元大分支部の期待を背負うエース大塚健一郎(41)が登場。笑顔で3人と対面した。
 
 輪界屈指の「ファイター」として知られ、鍛え抜かれた肉体を誇る大塚のレーサースーツ姿に見とれる3人。さっそく55㌢の太ももにタッチし「凄い!」と感動していた。
 
 ビッグレースを控える大塚は「自分はケガが多いし選考もギリギリだったが、地元から選手が出ないと格好がつかない。褒美をもらったと思って頑張る。花火を打ち上げる」と気合十分。熱い走りを誓った地元の大将に対して、3人は積極的に質問。「どうして競輪選手になったのですか」と斉藤が聞くと「野球をやっていたが、選ばれた者だけが上に行ける世界。競輪は気持ちの持って行き方や自転車へのアプローチ次第で戦える。自分は脚が2割、駆け引き8割の選手」と謙虚に自己分析した。
 
 続いて高木は「予想する時はどこを見たらいいですか」、海月は「ストレスの発散方法は何ですか」と聞き、レーサーの人間関係を知ることやの大切さや、オフのリフレッシュ方法を教わった。
 
 追い込み型で、レースでは激しい横の動きで相手をけん制することが多い大塚は「自分のこだわりや戦法は曲げない。車券に絡むことが大事だし、苦しい練習に耐えられるのは(勝利の)一瞬のため」と熱く語った。感銘を受けた3人はサマーナイトフェスティバルに向け「大塚選手の車券を購入します!」と約束。笑顔で記念撮影に収まった。