「第40回共同通信社杯競輪」は真杉匠(25=栃木)が優勝。02年10月以来、22年ぶりに宇都宮で開催された同競輪はくしくも神山雄一郎(56=栃木)以来、地元選手が優勝を飾った。
4日間の入場者数は施行関係者の〝1万3000人くらい〟の予想を上回り、2万1000人を超えた。朝の開門時(9時30分)からファンが並び、通常の場外車券主戦場のシアターホールは超満員。2日目からは売り場を広げて対応したが場内は〝競輪を生で観戦する〟活気があった。
宇都宮競輪の開催執務副委員長の戸室氏は「神山雄一郎選手のレースは凄い声援でした。着順に関係なく多くのファンが拍手していた。やはりファンの歓声がある競輪はいいですね」と多くの来場者に感謝した。
宇都宮競輪は競輪事業を知るベテランの施行者がいる。戸室氏は2代前の所長、そして5代前の所長の枝村氏も専門委員として執務する。枝村氏は宇都宮競輪場のホームとバックが逆の時代、11年の東日本大震災時は最終日を開催中の所長でもあった。長いキャリアがあるから神山の偉大さを知る。地元ファンにビッグを走る神山の姿を見てもらいたいから「共同通信社推薦枠」に神山を推薦した。前半戦のレースにファンが多かったのは〝神山効果〟もあったと思う。
施行者―。ファンには直接の関係はなさそうだが、本場ファンには大きく関係する。理由は施行者が開催日程を決めるから。モーニング、日中開催、ナイター、ミッドナイト。本場で競輪の魅力の一つである〝車輪の音〟を生で聞けるかどうかは施行者次第。ミッドナイトばかり開催されたら生観戦はできない。
私の中で開催のバランスがいい競輪場にはベテランの施行者が多い。売り上げ重視はもちろんだが〝本場に来るファン〟を増やすのも競輪事業の一つだ。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県出身の62歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグで競輪記者デビュー。以来、現場取材一筋38年。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り。青森競輪場は真夏の祭典・全日本選抜(88~98年の間に5回開催)の印象が強い。