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【記者コラム】今年も感動の熱いシーンを見せて

 涙腺が3回緩んだ。平塚「KEIRINグランプリ2017」シリーズ。ガールズGP、ヤングGP、グランプリの3番はいずれも後世に語り継がれる名勝負だった。今回は涙を誘った感動の舞台裏を振り返る。

 ガールズGPで2年連続2着の奥井迪(ふみ、36=東京)には胸が締めつけられた。ガールズ唯一無二の先行職人は今年も逃げた。誰もが賛辞を贈った最高の走り。だが石井寛子にタイヤ差、約3センチの差で負けた。「先行の神様はほほ笑んでくれない…」。奥井は顔をしわくちゃにして号泣しながらも気丈に振る舞った。悔しさを押し殺し、真しな対応を貫く姿に心を打たれた。

 グランプリで落車した深谷知広(28=愛知)。逃げて死力を尽くした直後の落車。再び愛車にまたがりゴールを目指すが、前輪が外れて前へ進まない。その時だ。「深谷!!深谷!!」のコールが鳴り響いた。そこに罵声はない。1万6000人のファンが一体となって深谷を後押しした。深谷は痛みで顔をゆがめながらも一歩ずつ進みゴール。傷だらけの体でファンの声援に必死に応えようとするシーンが胸に染みた。

 最後はグランプリを勝った浅井康太(33=三重)。バンク内での表彰式を終えて引き揚げた時だ。王者を出迎えた中部の仲間たち。そこには落車した深谷の姿も。最高の笑顔でヒーローを待ち構えた。その瞬間、浅井は感涙にむせた。仲間たちの手で宙に舞った。「(胴上げで)我慢しきれなかった」。タオルを目頭に当てて男泣き。普段クールな浅井が見せた感謝の涙に心が揺さぶられた。

 年の瀬に見た感動の瞬間は今も脳裏に焼き付いている。人が走る競輪は人情味がたっぷり。18年もドラマチックで熱い競輪に期待したい。

♠小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日、秋田県生まれの34歳。06年スポニチ入社、大阪本社で2年、08年から東京本社で競輪担当。最近印象に残ったレースは7日の四日市A級決勝。S級特進を決めた松本貴治(愛媛=111期)のまくり。

※18年1月11日付・東京版掲載

KEIRINグランプリ2017で仲間たちに胴上げされる浅井。今年も熱い戦いを期待だ