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【記者コラム】再起を誓う伊藤裕貴にエールを


 久しぶりに出番が回ってきた。常にタイムリーな話題が入ってくることはなくても、温存しておいたネタがタイミングよく芽を出すことはある。2月7日の練習中に交通事故に遭い、腰椎骨折の大けがを負った伊藤裕貴(26=三重、写真)が、そろそろ退院するという情報が入ってきたのだ。

 2月5日に宇都宮F1で優勝した翌々日の惨事だった。事故現場は見通しのいい堤防道路。大型バンに後ろから追突されて自転車は大破。それでも反対車線に吹き飛ばなかったこと、車体に巻き込まれなかったことなどの偶然が重なったおかげで一命を取りとめた。さらに、骨折した部分も腰椎の内側で、神経の損傷もなくまひもない。不幸中の幸いがいくつも重なり、競輪選手としての命もつなぎ止めた。

 2月末に見舞いに行った時には、すでに自力で起き上がり、歩行ができるまでに回復していたが「1週間は寝たきり。頭が狂いそうだったので、ずっとベッドでハンドルを握っていた」と告白。腰から脇下までS字状にがっちりと巻かれたギブスが何とも痛々しい。それでも本人は「共同杯に出るためには出走回数(最低24走)が足りない。なるべく早く復帰したい」と語っていた。その後は病院内にワットバイクを持ち込んで競輪選手としてのリハビリ開始。経過も良好で、4月3日にギブスを外し、5日に退院の流れとなった。

 もちろん戦線復帰はもう少し先。5月16日からの西武園F1が復帰の舞台となる。本格的に乗り込めるのも5月から。すぐに以前のような走りはできないだろうが、一度地獄を味わい、そこからはい上がろうとする人間の精神力は半端ではない。再起を誓う伊藤裕貴に温かいエールを送ってほしい。(岡田 光広)

※18年3月28日付・大阪版掲載