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【記者コラム】将棋好きの山中 うれしい記念初V

 2月28日決勝の四日市で山中秀将(ひでたけ、30=千葉・95期)がうれしい記念初Vを飾った。1Cから仕掛けた得意のまくりはスピード抜群。マークした内藤秀久の好ブロックを背にして押し切り勝ち。地元記念4連覇を狙った浅井康太、S班・稲垣裕之らが「参りました」と言わんばかりの一撃。価値ある記念Vだった。
 山中はバンクを離れれば大の将棋好き。老若男女が集う将棋道場に足を運ぶこともあるという。昨年10月末、地区プロで落車し右鎖骨を骨折。入院を余儀なくされたが「公園でおじいちゃんたちが将棋を指していたのを見て僕も交じってきた」というエピソードを持つほど熱が入っている。勝負師の競輪選手に将棋好きは多い。競輪場に入ればレースの公正を守るため外部との接触は一切禁止。携帯電話などの通信機器は預けなければならない。そのため宿舎での娯楽として将棋を指すこともしばしば。盤面を挟んだ真剣勝負で選手仲間とコミュニケーションを取る。
 京都の“大駒”稲垣は「将棋の純文学」といわれる矢倉が得意戦法。山中とは昨年、小田原記念が台風で順延した時に宿舎で対局したという。坂上樹大(80期=石川)、牛山貴広(92期=茨城)のS級レーサーも将棋好き。A級の田崎美佐夫(65期=山梨)、根本雄紀(80期=茨城)は、かなりの腕前と評判だ。ちなみに、駒と同じ名字の桂馬将人(89期=福島)は「将棋はやらない」と話していた。
 右鎖骨骨折のどん底からG3ウイナーへと成り上がった山中。判断力や決断力はもちろん、相手との駆け引き、数手先を読む思考力は将棋から学ぶことも多かったに違いない。今年はG1初Vへ“王手”の見出しが立つ快進撃に期待だ。(小野 祐一)   ※17年3月2日付・東京版掲載