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【記者コラム】20年前と変わらぬ金子貴のダッシュ力

 「第64回全日本プロ選手権自転車競技大会」が5月29日、和歌山競輪場で行われた。同大会はGⅠ「寛仁親王牌」の出場権とシード権を懸けて行われるためGⅠ予選も兼ねる。昨年から親王牌が10月開催に戻ったため競走得点の選考期間は今年2~7月の6カ月間。あと2カ月を残すとはいえ真剣勝負が繰り広げられた。

 親王牌初日の選手会理事長杯、特選にシードされるのは5月30日付本紙に掲載した1㌔タイムトライアル(TT)、スプリント、ケイリン、チームスプリントの上位選手。1㌔TT優勝の早坂秀悟、スプリント優勝の渡辺一成、ケイリン優勝の深谷知広は理事長杯シードを獲得。理事長杯は1~5着が準決勝進出となるため「大きい」(深谷)アドバンテージになる。

 特選シード権は1㌔TTとスプリントの2、3位、ケイリンの2~9位、そしてチームスプリント1位(3人)の選手。この中に注目すべき選手が数人いた。

 まず1㌔TT2位の大槻寛徳(38=宮城)。「スタンディングの練習を兼ねて500㍍ではいいタイムが出ていたけど(1分4秒266は)まぐれ。自己ベストでビックリ」と本人が一番驚いた表情。しかし「GⅠの特選シードは初めてだし、親王牌までいい緊張感がありますね」と後半戦へ向けて気持ちは前向きだ。チームスプリントで初優勝した栃木の3人(小田倉勇二、長島大介、金子幸央)も「親王牌までモチベーションが違う」(金子)と後半戦が注目される。

 そしてスプリント3位の金子貴志(41=愛知、写真)。00年弥彦、01年一宮、03年青森の覇者。午前中のタイム予選に始まり午後5時すぎの3位決定戦、決勝戦まで「(何も食べずに)ゼリーだけ」で6~8本のダッシュ勝負をする厳しい競技の一つ。しかし第一人者の金子は「今年も楽しめました。また1年頑張ろうという気持ちになりました」と約20年前と変わらない表情で振り返る。40歳を過ぎても金子のダッシュ力は健在だ。

 ♤中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)、熊本県生まれの54歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に小橋正義(引退)ら59期生のデビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋30年。勝負レースは5車の結束、競り、番手まくり。

※6月1日付・東京版掲載