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【競輪コラム】また魅了された52歳鈴木誠の復活劇

 また〝誠〟に魅了された。9日の松戸競輪初日10RはGⅠ3勝、GP1勝、鈴木誠(52=千葉、写真)の約3カ月ぶりの復帰戦だった。

 誠は4月15日の青森で落車。右鎖骨、肋骨、肩甲骨を骨折。競輪選手にとって落車、骨折は避けられないが50歳を過ぎた選手は体力の回復が遅い上に「もう一度頑張ろう」という気持ちの維持が難しい。今までに何人もの名選手がケガをきっかけに下降線をたどっている。

 誠は15年2月にも街道練習中の落車で左手首を複雑骨折。左腰部の骨を左手首に移植する手術を行って約7カ月ぶりに復帰した。「いつもはレースに対する緊張感があるが(復帰戦は)自分に対する緊張感しかなかった」。そんな中で②⑨②着。「さすが誠」だった。

 今回は「この年齢とキャリアがあっても復帰戦だけは緊張感が違う」と話す中で迎えた。師匠の冠杯である吉井秀仁杯。弟弟子の武井大介、福森慎太郎も参戦していた。レースは誠が任せた矢口大樹が先制。誠がベテランの技と気力を発揮して別線を封じ、ワンツーを決めた。

 ホッとした表情で引き揚げてきた誠。「ファンの声援がうれしかった。今回(鎖骨)手術をしていただいた先生とスタッフが応援に来てくれたのもうれしかった。自分だけの力で勝てたわけではない」と感謝の気持ちを、誠らしく飾らない言葉で表した。

 85年5月デビューのプロ33年目。競輪祭新人王(87年)を皮切りにGⅠ初タイトルの宮杯、滝沢正光とワンツーを決めたGP、そして「日本選手権を勝つために選手になった」という悲願のダービー制覇。誠には何度も魅了されたが今回、またファンになった。

 ♤中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)、熊本県生まれの54歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に小橋正義(引退)ら59期生のデビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋30年。勝負レースは5車の結束、競り、番手まくり。

※7月13日付・東京版掲載