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【記者コラム】村上義弘 競輪人生で最も長い4日間

 3日に行われた向日町競輪の開設67周年記念「平安賞(GⅢ)」決勝は太田竜二の先行に乗った小倉竜二が直線で抜け出し、2005年5月大垣以来、12年ぶりのGⅢ優勝を飾った。健在ぶりをアピールした小倉の活躍は印象的だが、シリーズで最もファンの熱い視線を浴びたのが〝魂の男〟村上義弘(43=京都)だ。

 準決は目標の三谷竜生が不発で共倒れの4着と悔しい敗退。最終日は決勝前の特別優秀回りとなったが、中井俊亮の逃げに乗り番手まくりで快勝。勝利の後のファンの歓声はシリーズ一番のものだった。

 ただ、レース後は「自分の競輪人生の中で最も長い4日間でした」と苦悩を吐露した。

 そう、今年の村上義はケガとの戦い。3月の練習中の落車で左鎖骨と肋骨骨折。その後も2度の骨折事故に見舞われるアクシデント続き。その都度、不屈の精神力で復帰を果たした。

 地元の向日町記念の出場も危ぶまれたが、本人は「ここで復帰するつもりで、手術をして間に合わせました。ファンに僕の走る姿を見て欲しかったので」。

 常に後押ししてくれるファンに感謝の思いを伝えるために全力で戦った。

 「直前の練習でもがけるようになったけど、感触はどうですかね。走ってみてから」とぶっつけ本番の不安を抱えながらも、❸❶④1着。決勝戦には進めなかったが、満身創痍(そうい)の中で2勝を挙げた。

 親交のある騎手の武豊さんも本紙のコラムで「欠場すると思っていたのに…。〝魂の走り〟はすごすぎる」と称賛していた。

 現在(9月12日現在)賞金ランクは16位。獲得賞金では年末のグランプリ出場は苦しくなってきたが、まだ2度のGⅠ戦がありチャンスはある。数々の苦境を乗り越えてきた村上義の走りに注目したい。(下野 章雄)

※9月13日付・大阪版掲載