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【記者コラム】「競輪は9車」S級戦だけでも

 S級戦だけは「9車×7レース制」も一考――。 
 7月に入り「7車立て9R制」になった。前回も触れたが新型コロナウイルス感染症対策のためだが、旧知の競輪ファンから質問も多く、改めて補足する。
 
 7人×9Rは63選手が参加。6月までのFⅠ11R制は99選手、それ以前のFⅠ12R制は108選手の参加だった。選手宿舎は4人1部屋が主流。108人+(プラス)補充選手等の人数を考慮すると30部屋以上あれば収容できた。
 
 しかし新型コロナウイルス感染症対策で〝密を避ける〟ために1部屋に2人までとすると63選手参加の開催は32部屋が必要。すなわち(いくつかの競輪場は)63人がライン。また参加選手は検車場、ローラー場に近い控室にいるが、今は〝ソーシャルディスタンス〟を確保するため広さが必要。6月までは多くの競輪場が無観客開催だったためファンの特別観覧席を控室に代用した競輪場もあった。
 
 7車立ての大きな目的の一つは落車を減らすこと。落車して病院搬送となって新型コロナウイルス感染症防止のため病院、医療従事者に負担をかけられない。それは選手の負傷治療にも影響が及ぶからだ。
 
 この状況を理解した上で今後の検討項目に上げてほしいのが「S級戦の9車立て×7レース制」。参加選手は同じ63人で選手宿舎、控室の〝密を避ける〟ことができる。また9R制から7R制にしてもファンが持っている金額は同じ。
 
 「S級戦9車」は脚力、技能に優れるS級選手だけが走る舞台となり意識も上がる。〝9車と7車〟の話は数多くしたがトップ選手になるほど「競輪は9車」の意識が強い。ゴール線上で1車身の中に9選手が並ぶシーンはS級戦の魅力の一つ。取手記念の決勝戦前日に平原康多が「日本の競輪は9車でないと面白くない。(7車は)ギャンブル性がなくなるし、強い人が勝ってばかりになる」と語った言葉が9車で育った競輪記者の心に響いた。
 
 ♤中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の57歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に小橋正義(引退)ら59期生のデビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋33年。好きなレースは5車の結束、番手まくり、競り。

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