〝北決着〟を演出

佐藤慎太郎

 
 43歳。円熟期を迎えたガッツマーカーが、ついに競輪界の頂点に立った。KEIRINグランプリ2019。前を任せた新田祐大が正攻法から最終ホームで脇本雄太ラインに飛びつき、すんなりと番手を奪う展開に。このまま東京五輪でメダル獲得を目指す2人のどちらかの優勝かに思われたが、勝ったのは佐藤だった。両者の間をこじ開けて、こん身のハンドル投げ。スピード化が進む現代競輪において、経験とワザが勝った瞬間でもあった。
 
 純白のチャンピオンユニホームをまとい、進化を求められる立場となった2020年も安定した成績を残している。和歌山→いわき平で連続の決勝進出。優勝には届いてないものの、GP覇者としての貫禄は十分に伝わってくるレース内容である。とくにいわき平の準決勝だ。逃げた高橋晋也を3着に残し、3番手の中村敏之輔を2着に連れ込んで上位独占劇。レース後は高橋の強さを全面的にアピールし、2着に残せなかった自分に対しての反省点を述べていたが、別線の自力型にとっては番手佐藤の存在が完全な抑止力となっていた。決勝戦の北日本5人結束最強ラインに導いた敏腕演出家と言えよう。
 
 今回も個性派ぞろいの北日本を一つにまとめる総監督の立場。経験、スキル、1番車の利…。総ての要素を組み込んだ最高のシナリオを描き上げ、北日本での上位独占を演出してみせる。
 

浅井康太 松浦悠士 佐藤慎太郎 平原康多 中川誠一郎