和歌山競輪の開設69周年記念「和歌山グランプリ(GⅢ)」は11日から開幕。初日が特選一つになった新勝ち上がり制度2回目の開催で、初日から激しいバトルは必至。このコーナーでは勢い抜群の地元・稲毛健太と屈指の先行力を誇る新山響平をピックアップし、あわせてV争いの行方を占う。
稲毛 地元引っ張る! |
新年初戦の岐阜を鮮やかなまくりで決めた。決勝戦はマークの川村晃司と連結が外れる難しい展開になったが、最終ホームから抜群のダッシュ力で仕掛け前団を一気に飲み込んだ。
昨年はFⅠ戦3V。とくに後半戦での活躍が光る。8月富山を勝つと、続く川崎と連続V。10月の広島でも小川真太郎、金子幸央を振り切って勝利を飾っている。12月の四日市記念では決勝進出を決めた。
「8月から調子が良くなってきました。体の使い方などを考えて動けるようになっています」
持ち味のスピード感あふれる自力がさえ渡っている。そして、これらVの中にはマーク戦もあり、戦法の幅が広がっていることも成績が安定してきた理由だ。近畿地区の層の厚さを生かし自力の時はラインの先頭でしっかり戦い、若手の自力選手と一緒の時はマークから番手の仕事をこなしている。そして同じ和歌山勢の活躍が刺激になっている。東口、椎木尾の実力者はもちろん、新鋭の南に石塚、中西ら自力選手が確実に力をつけている。若手陣のリーダーとして経験を伝え、ともにビッグレースでの活躍を誓う。
最高の状態で迎える地元記念。かかる期待は大きい。プレッシャーもかかるところだが「いつも意識はしていません。目の前にある一戦、一戦に集中していくだけです」と自然体の走りを強調する。迫力を増した走りで地元勢を引っ張っていく。
新山 飛躍の年だ |
最終バック回数は24。トップで活躍する自力型の選手としては異例の数字を残している。もちろん、ただ逃げている訳ではない。FⅠ戦では圧倒的なパワーを見せつけ、記念、ビッグレースでも結果を残している。年末の佐世保記念でも連日、主導権を握り、決勝戦ではマークの五十嵐力に差されたが、その破壊力に少しのかげりもない。
新年は年をまたいでの平塚FⅠからスタートを切った。ただ一度も連対に絡めず、不安の残る中での決勝戦となった。「競走が詰まり練習不足なのがレースに出ています。しっかり踏み直せずに末が甘い」とベストな走りではなかった。決勝戦も小川真太郎の強襲を浴びて3着に終わった。ただ今開催までにはしっかりと調子を上げてくるのは間違いない。今年はさらなる飛躍を期す。寒風を引き裂く豪快先行が、和歌山のバンクを熱くする。
先行予想 |
グランプリ覇者三谷力の違い見せる |
年末のグランプリを制した三谷が新年初戦を迎える。脇本の番手からの差し切り。プレッシャーのかかる位置で勝ち切ったことは、脚力だけでない精神的な強さがあってのもの。王者としての走りが注目される。昨年と同様に近畿地区の先行選手がいた時はマーク、不在の時は自ら自力の組み立てと、オールラウンダーの走りで他地区の選手を迎え撃つ。厚い近畿地区の主役として自力、追い込みと力の違いを見せていく。同じSS班の村上が三谷を追走。巧追からゴール前での差し切りをはかる。両者が近畿勢を引っ張っていく。
地元の東口、椎木尾が気合十分に挑む。東口には地元記念連覇の期待がかかる。同県の自力の稲毛、南の存在は心強い。近畿勢の多くが勝ち上がった時は、地元勢と別線も考えられる。その時は地元でタッグを組み地元Vを狙う。ヤンググランプリ準Vで勢いを取り戻した南の快走も注目だ。
中川のスピード戦は見逃せない。まくりの威力は競輪界屈指だ。近畿地区が他地区の攻勢を受けて展開がもつれれば、オハコのまくりがさく裂。混戦になればなるほど出番は十分。過去に和歌山記念を制しているのも好材料だ。
過去3V武田好相性 |
SS班・武田の底力は見逃せない。過去、和歌山記念は3度のVと抜群の好相性を誇る。関東ラインで横山、金子に前を任せ迫力のさばきで進出をはかる。北日本は新山がパワー先行で挑む。早めからでも主導権を取っていく構え。マークする和田、菊地が好ガードから抜け出すか。南関東勢は安定した成績を残す和田健が軸になる。和田真、簗田のまくりタイプの選手の仕掛けに乗っていく。乱戦で出番だ。
四国勢は小川が引っ張っていく。落車のケガで成績を落としていたが、新年初戦の平塚FⅠで完全Vを決め復活だ。位置取りは確かで好位からの一撃に注目。池田、浜田が続く。岩津も俊敏な立ち回りでスキを突く。中部勢は金子貴が自力中心の組み立てで底力を発揮する。
◆勝ち上がり方式変更 |
19年1月から競輪GⅢの勝ち上がり方式が新しくなった。改正点は2つ。①昨年まで3つあった初日特選が1つに②2日目優秀が廃止され、オール二次予選となった。ポイントは①が有力選手の予選分散により、予想の軸がはっきりするレースとなる。②はオール二次予選になることで、今まで以上に迫力のある、よりエキサイティングなレースが期待される。4~7日の立川67周年から実施されている。