太田 勢いMAX突っ走る


 玉野競輪の開設68周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GⅢ)」は28日から開幕する。三谷竜生、村上義弘という近畿SS班の牙城を勢いMAXの太田竜馬、松浦悠士らの中四国勢が崩すのか。このコーナーではV争いの行方を占い、シリーズを引っ張っていくであろう太田竜馬(22=徳島)をピックアップする。
 
 昨年末は目標だったヤンググランプリ(静岡)を一気の強襲劇で勝ち取った。そして今年に入りその強さは本格化した。初戦の武雄FⅠでV発進を決めると続く別府でもV。高松記念では初のGⅢVに輝いた。それも屈指の実力者の平原康多に終生のライバルになるであろう山崎賢人を破ってのものだから価値がある。
 
 決まり手は最終バックからのインまくりで「ここしかないと思って踏んだ。取れるとは思ってなかったです」と本人もビックリの勝利だった。以前はスピードではトップクラスだったがレース運びは淡泊な面もあった。後手に回されると不発になることがあった。しかし、ヤンググランプリも、この高松記念でも不利な態勢になっても厳しくコースを突いていく気持ちの強さが勝利の女神を呼び込んだ。持ち味のダッシュ力にくわえレースも厳しさを増したとなれば上位で勝ち星を重ねるのも当然か。
 
 2月今年初のGⅠ全日本選抜競輪(別府)でも活躍が期待された。初日特選は果敢に主導権を握り松浦、小倉竜とラインで上位独占を決め、2日目のスタールビー賞でも三谷竜を封じて再度、ラインで上位独占。いずれも3着だったが、着順以上に太田強しを印象づけた。準決勝は昨年の競輪祭に続く連続GⅠ決勝進出が期待されたが、南関東勢の奇襲を浴び決勝入りはならず。それでも最終日はしっかりとまくりを決めて勝利を飾っている。勢いが止まることはなかった。
 
 今シリーズは追加での参戦となる。それでも前回から日にちはあったので調整に不安はない。くわえて同県の阿竹に岡山勢、そして松浦とラインの援軍が多いのは心強い限りだ。積極性を増した走りと、不利な態勢になっても打開する気持ちの強さでシリーズを引っ張っていく。
 

先行予想

 SS班は近畿の三谷と村上義。実績で断然リードする両者だが、勢いは太田を先頭に絶好調の松浦がいる中四国勢が上回る。
 
 太田を先陣とする中四国勢が飛ばしていく。メンバー構成により並びは微妙になるが、松浦が人気の中心になる。昨年12月に地元・広島記念を制してから勢いは加速するばかりだ。2月別府の全日本選抜競輪では連勝で準決勝に進み直線強襲の3着で初のGⅠ決勝を決めた。確かな位置取りからのまくり追い込みは強烈だ。前走の大垣FⅠでもしっかりVを飾っている。地元・岡山の岩津、柏野も気合十分に挑む。松浦に前を任せてゴール前勝負。阿竹は長期欠場から復帰後の2場所をブランクを感じさせない走り。同県の太田マークを守り切ればチャンス。地元の取鳥も積極駆けで奮戦は必至だ。
 
 グランプリ覇者の三谷は前走の全日本選抜競輪で落車があった。ケガの影響はどうか。初日の走りが注目される。村上義は三谷マークからの走り。闘志を前面に貫禄の走りを見せる。メンバーによっては自力の走りで他地区の若手自力選手と真っ向勝負だ。
 
 関東ラインの層が厚い。自力型は吉田と鈴木を中心に、同じ茨城の伊早坂が上位進出を果たせばさらに有利にレースを運ぶ。芦沢、神山が番手から抜け出すシーンがあるか。北日本勢は成田が屈指のレース運びで進出へ。伏見の追い込みの威力も健在だ。南関勢は松谷と近藤がラインの先頭を走る。自在性があるので混戦で出番だ。井上、野田の九州勢はまくりが強く脚をためての一発狙いになる。