川崎競輪開設70周年記念「桜花賞・海老澤清杯」(GⅢナイター)は、18日から21日まで4日間にわたって開催される。自転車競技に重点を置く深谷知広が8カ月ぶりに日本の競輪に復帰。金子貴志と師弟で連係し、スケールアップした脚力をファンの前で披露する。ホームバンクでのVに燃えるのが地元エースの郡司浩平。郡司と同期で好調な和田真久留も神奈川のV候補の1人。S班のスターは平原康多、武田豊樹、三谷竜生、村上義弘の4人。このほか成績上昇の佐藤慎太郎ら好メンバーがそろって熱戦を繰り広げる。
 
 また、最終日(21日)第6Rでは「S級ブロックセブン」が小松崎大地、勝瀬卓也、今野大輔、水谷好宏、松本大地、村上卓茂、小坂敏之の7選手により実施される。

 

深谷 師匠金子とワンツーだ


 東京五輪出場とメダル獲得を目指し、自転車トラック競技日本代表として精進を重ねる深谷知広。本業の競輪を走るのは昨年8月いわき平オールスター以来、8カ月ぶり。多少の不安はあるかも知れないが、ナショナルチームの厳しい練習で培われたハイパワーは間違いなく上位レベル。3月大垣ウィナーズカップを異次元の強さで制した脇本雄太と同様、ワールドクラスの実力で他を圧倒するか。出走がなかった期間が長かった分だけ、注目度は高くなる。期待するファンの前で迫力ある走りを披露したい。
 
 川崎では過去にGⅢ2Vの実績。バンクとの相性の良さも深谷にとって大きなプラス材料と言える。また師匠である金子貴志との連係が考えられることも追い風。師弟ワンツーへ、モチベーションは格段に高くなる。GⅠ、グランプリでも金子と好結果を残している自信がここでも生かされるに違いない。チャンスを逃さずに仕掛けて力を出し切る。
 
 金子も深谷と久々のタッグなら気合の入り方が違う。連係となれば昨年5月平塚ダービー以来。深谷がパワーアップしていても、それに対応できる脚質、実力を備える。前で仕掛ける愛弟子にピタリと続き直線勝負。前走の地元戦、豊橋FⅠで優勝を決めた勢いも力にして好走を見せたい。
 

郡司 地元記念制覇へ


 ホームバンク川崎の記念2度目の優勝を狙うのが郡司浩平。初制覇は17年。南関同士の後輩・渡辺雄太(静岡)の逃げに乗りチャンスをものにした。連覇を狙った昨年は初日、2日目と連勝を決めたが準決5着で決勝進出に失敗。悔しい思いをした分も、ここに気持ちを込めて勝利を目指す。頼れる味方は多い。地元勢では同期の和田真久留が好調なほか、前走福井FⅠでS級初Vを決めた新鋭・松井宏佑との連係も考えられる。さらに昨年覇者の小原太樹や力ある五十嵐力、昨年に決勝まで進んだ白戸淳太郎らがラインの層を厚くする。和田は2月別府全日本選抜でGⅠ初決勝。その後はFⅠ3場所で2V、決勝2着1回と好走。ホームバンクは平塚だが、郡司とともに地元のV有力候補として期待を集めそう。
 

S班4選手が大きな壁

 S班からは4選手が出場。当然ながら、深谷や郡司らにとっては崩すのが難しい壁となる。関東は平原康多と武田豊樹、近畿は三谷竜生と村上義弘がラインを組む。総合力で上回るのは平原だ。今年はまだ優勝がないが、高レベルで安定した成績を維持。武田の前で自力を基本に運ぶが、若手で機動力のある吉田拓矢との連係も。どうあれ、勝てるように意識してうまく走る。落車が多い武田はリズムに乗れずにいるが、平原や吉田との連係で流れを良くできるか。09年にサマーナイトFを制した川崎で結果を残したい。
 
 近畿S班の三谷と村上も落車の影響で、まだ本調子とは言えない状態。武田と同様、次の松戸ダービー(30日~5月5日)を前にここで調子を上向かせたい。コンディションを整えて臨み浮上を狙う。
 
 ビッグレースも含め成績がアップしているのが佐藤慎太郎。前走松戸FⅠは準決2着、決勝3着だが、先着を許したのは短期登録の外国人選手だけだった。ここも好勝負は必至か。深谷と金子が師弟連係なら、佐藤は山崎芳仁との同門連係を決勝で実現させたい。当地記念2Vの実績ある山崎も底力は十分で怖い1人と言える。
 
 中四国で注目は上昇気配の原田研太朗と、深谷と同じナショナルチームメンバーの河端朋之。昨年川崎記念で決勝進出の若手先行・松本貴治も再び存在感をアピールするか。