真価問われるシリーズ

平原 康多

 
 平原は昨年、ビッグタイトル無冠に終わった。「フレームとか試行錯誤してレースでも失敗。お客さんにも迷惑をかけました」と不完全燃焼に終わった1年だった。
 
 その苦い経験を生かして20年は好スタートを切った。年明けから投入したフレームも1戦ごとに体とマッチング。正月の立川から力強い足取り。記念は年頭から4戦して2V、準優勝2回。今年初のGⅠとなった2月の豊橋全日本選抜は準Vに終わったが、直線は強襲劇を展開。〝強い〟平原の復活を印象づけた。
 
 そのままの勢いで突っ走るかと思われたが、3月福井のウィナーズカップでの落車から歯車が狂いだした。開催中止をはさんで5月の宇都宮記念で56日ぶりに実戦復帰。二次予選で13秒6(500バンク)の快速まくりを披露したが、準決でまたしても不運の落車。
 
 5月末の豊橋全プロ記念では「まだ左手首が痛い。大丈夫とは言えないが、気持ちが全てなんで」と2日間の競走を❷❷着と気合で乗り切った。
 
 今回の高松宮記念杯は来年に延期された東京五輪自転車競技の代表に選ばれたナショナルチームの新田祐大、脇本雄太をはじめ、最強タッグと称される松浦悠士、清水裕友の中国ゴールデンコンビらS班9名がそろい踏み。競輪界最高峰の戦いに胸が躍る。
 
 平原にとっては最強のオールラウンダーとして真価が問われるシリーズ。過去、高松宮記念杯は2Vの実績。万全の状態に仕上げて、決勝の大舞台で強敵を迎え撃つ。