今回は〝黄金世代〟とも言える14年デビューの3期生に着目。
その中でも、可愛らしいルックスと抜群のスピードを併せ持つ高木真備(まきび、25=東京)にスポットを当てる。現在、超一流の強さと人気を誇るトップレーサーの名前の由来、成長の裏話に迫る。
また、今や世界を舞台に闘う小林優香(26=福岡)をはじめ強豪レーサーそろう106期を紹介。
先行一本で日本一へ
高木 真備
ハートがあしらわれたピンクの自転車がよく似合う高木。登録地は東京だが、生まれは父の転勤先だった岡山県真備町(まきびちょう、現倉敷市)。両親の「少しでも人の役に立つような人になってもらいたい」という思いから、郷土の偉人で遣唐使として活躍した吉備真備から「真備」と命名された。高校までハンドボールに打ち込んでいたが、母の勧めでガールズケイリンの道へ進む。
自転車競技歴は浅かったが、高いポテンシャルを生かし競輪学校(現日本競輪選手養成所)では在校2位と好成績を残した。14年5月に奈良でデビューしてから、脚力をつけるためにも先行一本で勝負。当初は走り終わると酸欠で何度も倒れ込み、周囲にあざ笑われた。「何度もバカにされて…。本当に苦しくて倒れていたのに。だから、絶対に見返そうと思ったんです。先行して強くなってやろうと」。負けず嫌いのハートに火が付いた。
17年ガールズGP会場の平塚にマイカーで到着した高木真備
先行に打ち込んだ成果が実を結び始めたのは16年。「ペース配分を覚えて周りが見えるようになった」と8月の松戸でガールズコレクション初優勝し、ガールズグランプリにも初出場。抜群のスピードと持久力を身につけ誰もが認めるトップレーサーへと成長した。
「自転車は好きだけど、それ以上に7人で競い合うのが好き。勝負事が好きなんです」と口にしていた、負けず嫌いな高木。今年もここまで27戦23勝2着3回と安定した走りを披露している。
念願のガールズグランプリ制覇へ、才色兼備の真備が闘志を燃やす。
18年12月、「KEIRINグランプリ」の前夜祭で艶やかな衣装で記念撮影するガールズグランプリの出場選手。
(左から)尾崎睦(108期)、鈴木美教(112期)、高木真備(106期)、石井貴子(106期)、石井寛子(104期)、梅川風子(112期)、児玉碧衣(108期)
小林優香
大舞台で活躍する選手が多い106期の中でもひときわ輝きを放つのが、 小林優香 だ。
在校時代も圧倒的な成績で卒業すると、デビューから無傷の22連勝など白星を量産。2年目の15年にはガールズグランプリで初優勝しトップに君臨した。現在は「東京五輪で金メダルを獲ることが夢。それが自転車を始めたきっかけでもあるので、絶対にかなえたい」と東京五輪を目指し自転車競技に専念。五輪で女子自転車競技初のメダルへさらなる進化を遂げる。
加えて徹底先行が売りの 奥井迪 (ふみ、38=東京)や 石井貴子 (30=千葉)、 長沢彩 (31=愛知)も忘れてはいけない。
中でも奥井は19年1月にガールズ史上初の通算300勝を達成し歴史に名を刻んだ。トップで活躍する選手が多い3期生はまさに〝黄金世代〟といえる。
奥井迪
2020年5月14日現在
※は引退した選手
選手名 | 登録地 | 出走数 | 1着 | 優勝 |
青木 美優 | 栃木 | 527 | 21 | 0 |
飯田よしの | 東京 | 489 | 16 | 0 |
石井 貴子 | 千葉 | 392 | 217 | 64 |
上原七衣※ | 新潟 | 210 | 0 | 0 |
小川美咲※ | 静岡 | 168 | 8 | 0 |
奥井 迪 | 東京 | 522 | 362 | 77 |
金田洋世※ | 神奈川 | 232 | 5 | 0 |
小林 優香 | 福岡 | 214 | 192 | 62 |
高木 真備 | 東京 | 480 | 266 | 59 |
高橋千秋※ | 福岡 | 135 | 10 | 0 |
選手名 | 登録地 | 出走数 | 1着 | 優勝 |
高橋 梨香 | 埼玉 | 551 | 57 | 5 |
竹井史香※ | 香川 | 277 | 8 | 0 |
長沢 彩 | 愛知 | 511 | 235 | 44 |
浜田 瞳※ | 青森 | 262 | 9 | 0 |
宮安 利沙 | 岡山 | 452 | 16 | 0 |
山路 藍※ | 京都 | 327 | 13 | 0 |
山本 奈知 | 千葉 | 305 | 22 | 2 |
山本レナ※ | 京都 | 361 | 25 | 0 |