今回は〝黄金世代〟とも言える14年デビューの3期生に着目。

 

 その中でも、可愛らしいルックスと抜群のスピードを併せ持つ高木真備(まきび、25=東京)にスポットを当てる。現在、超一流の強さと人気を誇るトップレーサーの名前の由来、成長の裏話に迫る。

 

 また、今や世界を舞台に闘う小林優香(26=福岡)をはじめ強豪レーサーそろう106期を紹介。

 先行一本で日本一へ

高木真備202005

高木 真備 

 ハートがあしらわれたピンクの自転車がよく似合う高木。登録地は東京だが、生まれは父の転勤先だった岡山県真備町(まきびちょう、現倉敷市)。両親の「少しでも人の役に立つような人になってもらいたい」という思いから、郷土の偉人で遣唐使として活躍した吉備真備から「真備」と命名された。高校までハンドボールに打ち込んでいたが、母の勧めでガールズケイリンの道へ進む。

 

 自転車競技歴は浅かったが、高いポテンシャルを生かし競輪学校(現日本競輪選手養成所)では在校2位と好成績を残した。14年5月に奈良でデビューしてから、脚力をつけるためにも先行一本で勝負。当初は走り終わると酸欠で何度も倒れ込み、周囲にあざ笑われた。「何度もバカにされて…。本当に苦しくて倒れていたのに。だから、絶対に見返そうと思ったんです。先行して強くなってやろうと」。負けず嫌いのハートに火が付いた。

高木真備20200531ガールズ連載02

17年ガールズGP会場の平塚にマイカーで到着した高木真備

 先行に打ち込んだ成果が実を結び始めたのは16年。「ペース配分を覚えて周りが見えるようになった」と8月の松戸でガールズコレクション初優勝し、ガールズグランプリにも初出場。抜群のスピードと持久力を身につけ誰もが認めるトップレーサーへと成長した。

 

 「自転車は好きだけど、それ以上に7人で競い合うのが好き。勝負事が好きなんです」と口にしていた、負けず嫌いな高木。今年もここまで27戦23勝2着3回と安定した走りを披露している。

 

 念願のガールズグランプリ制覇へ、才色兼備の真備が闘志を燃やす。

KEIRINグランプリ18前夜祭20200531ガールズ連載

 18年12月、「KEIRINグランプリ」の前夜祭で艶やかな衣装で記念撮影するガールズグランプリの出場選手。

 (左から)尾崎睦(108期)、鈴木美教(112期)、高木真備(106期)、石井貴子(106期)、石井寛子(104期)、梅川風子(112期)、児玉碧衣(108期)

小林優香20200531ガールズ連載

小林優香

 大舞台で活躍する選手が多い106期の中でもひときわ輝きを放つのが、 小林優香 だ。

 

 在校時代も圧倒的な成績で卒業すると、デビューから無傷の22連勝など白星を量産。2年目の15年にはガールズグランプリで初優勝しトップに君臨した。現在は「東京五輪で金メダルを獲ることが夢。それが自転車を始めたきっかけでもあるので、絶対にかなえたい」と東京五輪を目指し自転車競技に専念。五輪で女子自転車競技初のメダルへさらなる進化を遂げる。

 

 加えて徹底先行が売りの 奥井迪 (ふみ、38=東京)や 石井貴子 (30=千葉)、 長沢彩 (31=愛知)も忘れてはいけない。

 

 中でも奥井は19年1月にガールズ史上初の通算300勝を達成し歴史に名を刻んだ。トップで活躍する選手が多い3期生はまさに〝黄金世代〟といえる。

奥井迪20200531ガールズ連載

奥井迪

2020年5月14日現在
※は引退した選手

選手名 登録地 出走数 1着 優勝
青木 美優 栃木 527 21
飯田よしの 東京 489 16
石井 貴子 千葉 392 217 64
上原七衣※ 新潟 210
小川美咲※ 静岡 168
奥井  迪 東京 522 362 77
金田洋世※ 神奈川 232
小林 優香 福岡 214 192 62
高木 真備 東京 480 266 59
高橋千秋※ 福岡 135 10
選手名 登録地 出走数 1着 優勝
高橋 梨香 埼玉 551 57
竹井史香※ 香川 277
長沢  彩 愛知 511 235 44
浜田 瞳※ 青森 262
宮安 利沙 岡山 452 16
山路 藍※ 京都 327 13
山本 奈知 千葉 305 22
山本レナ※ 京都 361 25