2016年デビューの5期生・110期。

 

 アマチュア時代から自転車競技で活躍した鈴木奈央(23=静岡)にスポットライトを当てる。現在、ナショナルチームに所属し、競技と競輪を両立。今後の飛躍が期待される23歳だ。

 

 鈴木奈と同学年で卒業記念レースを制した土屋珠里(23=栃木)にも注目した。

 2つの車輪に思い乗せて

鈴木奈央20200531ガールズ連載04

鈴木 奈央 

 「勝負、大好きです。この世界に入って良かったと思います」。鈴木奈央は語った。

 

 競技では世界を舞台に戦う23歳は叔父の影響で小学2年から自転車競技を始めた。星陵高(静岡)では13、14年、全国高校選抜自転車競技大会で史上初となる女子ケイリンと同500㍍タイムトライアルの2年連続2冠を達成。さらに15年のアジアジュニア自転車競技選手権大会でもケイリンとスクラッチの2冠を獲得。国内外で華々しく活躍した。

 

 高校卒業後は大学で自転車競技を続けることも考えた。しかし、「テレビでレースを見て〝ここで走りたい〟と思った」。競輪学校(現日本競輪選手養成所)への入学を選んだ。

鈴木奈央20200531ガールズ連載05

星陵高(静岡)時代には史上初の2年連続2冠達成

鈴木奈央20200531ガールズ連載03

鈴木奈央は競輪学校を1位で卒業

 周囲の期待通り、在校成績1位で卒業。デビュー2場所目の平塚で初優勝。ニューヒロイン誕生を予感させた。

 

 しかし、その後、思うような結果が出ていない。通算優勝は8回。期待が大きかっただけに、やや物足りなさを感じる。

 

 現在はナショナルチームに所属。自転車競技とガールズケイリンの両立をこなす。3年前、斡旋が入って成人式への出席を断念。ただ、本紙の企画で振り袖姿を披露した。

 

 「グランプリの前夜祭で、また着物に袖を通せたら…」。自転車競技とガールズケイリン。2つの車輪に2つの思いを乗せて、23歳はきょうも走る。

鈴木奈央20200531ガールズ連載02

16年12月、スポニチ本紙の企画で振袖姿を披露

 自転車競技歴の長かった鈴木奈央を抑え、卒業記念レースを制したのが 土屋珠里

 

 中学、高校と陸上競技の中距離に励んだが「人生は一度きり。新しいことに挑戦したい」とガールズケイリンの門を叩いた。入学時は当然ながら周りと脚力の差があった。「7回くらい落車した。5回生で一番多いかも」。

 

 経験の差を努力で埋めた。連日、早朝練習に取り組み、競走訓練では先行勝負を貫いた。記録会では常に上位のタイムを出すまでに成長。集大成となる卒業記念で、ついに同期№1の座を手にした。

 

 16年7月名古屋でデビューし、いきなり白星を挙げるも決勝で失格。次の前橋では落車とつまずいた。17年7月に初優勝。ここまで4度、優勝した。

 

 ただ、同期全員を追い抜いてトップに立った競輪学校時代を思えば、もっとはばたいていい。23歳。伸びしろはまだたっぷりとあるはずだ。

土屋珠里20200531ガールズ連載

16年、卒業記念レースを制しポーズをとる土屋珠里

2020年5月16日現在
※は引退した選手

選手名 登録地 出走数 1着 優勝
荒川ひかり 茨城 306 25
板根 茜弥 東京 331 31
大谷 杏奈 愛知 351 11
亀川 史華 兵庫 215 21
黒河内由実 長野 353
斉藤 由紀 愛知 348 19
坂本 咲※ 神奈川 115
佐々木恵理 愛知 309
佐藤 友香 青森 361 13
鈴木 彩夏 東京 278
選手名 登録地 出走数 1着 優勝
鈴木 奈央 静岡 168 61
土屋 珠里 栃木 294 33
遠峯加奈※ 群馬 113
中嶋 里美 愛知 335 45
中野  咲 愛知 303 17
野口のぞみ 長崎 246 28
林 真奈美 福岡 287 84 10
藤谷はるな 茨城 318
藤巻絵里佳 福島 277 11
蓑田 真璃 千葉 341 24
選手名 登録地 出走数 1着 優勝
宮地 寧々 岐阜 326 26
山本 知佳 和歌山 308 25