交通事故転機

 順風満帆に歩み出した自転車人生。だが鹿屋体育大1年の秋に悲劇が襲った。

 

 鹿児島で街道練習中に車と衝突事故。「選手生命が終わったと思った」。ドクターヘリで搬送され背骨の横突起骨折、右膝は肉がえぐれる大ケガ。何度も心が折れかけたが諦めなかった。

 

 「あの事故がきっかけで自転車に真剣に取り組むようになった。大学ではなあなあだった部分があったが、人生観が大きく変わった」。九死に一生を得た出来事が人として競技者として大きく成長させた。競輪選手養成所の117期に一発で合格。11歳の頃から夢見た競輪選手へ遠回りせずにたどり着いた。

熱心にバンク練習で汗を流す阿部将大(右)

熱心にバンク練習で汗を流す阿部将大(右)

 「パシュート」V14貢献

 プロ1年目の阿部は自転車競技でも重要なピースを担っている。

 

 10月6日に久留米競輪場で行われた「第47回九州地区プロ自転車競技大会」に初出場。4㌔チームパシュート(団体追い抜き)で安東宏高、小岩大介、池部壮太と力を合わせ、大分チーム14連覇の金字塔を打ち立てた。

 

 「今年から自分が加わり負けるわけにはいかなかった。凄く緊張したけどいい経験になった」。大分の伝統を守り、安どと充実の表情で振り返った。