見よ世界の脚

深谷 知広

 
 世界と戦う脚は必見だ。平成の怪物こと深谷が主役を演じる。今年は全日本選抜(ダービーは中止)以外、ビッグは全部参戦。決勝進出こそないが、むしろレースぶりは以前より迫力を増している。ナショナルチームの厳しいトレーニングで脚力を磨いて航続距離はアップ。持ち前のスピードに持久力が備わって能力の底上げに成功している。
 
 その結果、攻めに迷いがなくなって、早めの仕掛けが目立つようになった。弾丸スパートから別線を封じて、ラインとのワンツー決着も増加。成績以上の強さを秘めている。寛仁親王牌では準決敗退も都合3勝の活躍で存在を誇示。競輪祭では連日の先行策で準決に進出。「いいレースができている」。大舞台で力を出し切って手応えを実感していた。同型を力で制する様相はまさに〝怪物〟だ。
 
 競技の方に目を向けると11月に行われた全日本自転車競技選手権ではスプリント、ケイリンで優勝。スプリント、ケイリンといずれも脇本雄太、新田祐大を撃破してのVは価値がある。つねに進化を遂げていて競技では無双状態だ。
 
 来年、静岡支部に移籍することを発表した。加えて結婚も自身のツイッターで発表。プライベートでも順風満帆だ。あとは競輪で結果を残すだけ。迷いのない組み立てから爆発的な脚力を披露して別線を一蹴。自慢の剛脚を存分に発揮して今年のラストラン、そして愛知支部での最後の戦いををVで締める。