奈良競輪で今年2回目となるGⅢの施設整備等協賛競輪in奈良「秋篠賞」は、29日から5月2日まで4日間にわたって開催される。京王閣ダービー(5月4~9日)出場組が不在で激戦模様だが主役期待は地元ラインの軸となりそうな中井太祐。同じく地元の三谷政史&将太兄弟や元砂勇雪もホームバンクでのGⅢ制覇に燃える。そのほか杉森輝大、山賀雅仁、門田凌、大塚健一郎らが出場。実力ある顔ぶれがそろって連日、熱いバトルが繰り広げられる。(電投番号「53#」)

20210429奈良・中井太祐

 個々の力量は接近しているが、地区単位でみれば戦力充実は近畿勢。中でも奈良勢が強い意気込みで地元GⅢを走る。中心は今期2班でも地元勢では点数上位となる中井太祐だ。2月の当地GⅢ・開設記念「春日賞争奪戦」でも決勝入り。その時は弟の中井俊亮も準決を突破して兄弟連係が実現。しかし、前を任せた俊亮が6番手で捲り不発に。中井は弟が行けずと見るや内に切り替えて前に迫ったが4着。4角で前輪が前走選手の後輪と接触。そこでバランスを崩した不利もあって直線で伸びず、結果を出すことはできなかった。
 
 ここでは弟の俊亮が不在。基本は自力勝負だが、同県後輩で頼れる自力型の元砂勇雪がいる。2月春日賞では準決で元砂の後ろ回り。その時は最終ホームから仕掛けた元砂が1角で斜行のあおりを受けて落車。避けた中井は執念の3着も、そろっての準決突破はならず。その分も、ここで目指すのは決勝での連係。元砂が自力勝負を志願すれば、ここも前を任せて番手。好ガードからの抜け出しで2月記念の分もVチャンスをつかみ取る。
 
 さらに地元ラインを厚くするのが追い込み型の三谷政史&将太兄弟。点数上位の弟・将太が前で中井の後ろを固める形になるか。2月春日賞は落車負傷による長欠から復帰4場所目だったが2日目にまたしても落車。無念の途中欠場に。その分も気合を込め、ラインの中で役割を果たしてG前での突き抜けに懸ける。そのほか近畿勢は3年前にGⅢデビュー最速Vを決めた南潤や中西大、高久保雄介が確かな機動力でV争い。追い込み型では2月GⅢいわき平記念でS級初Vを決めた鷲田佳史が注目を集めそう。
 
 関東のV候補は杉森輝大。昨年11月小倉競輪祭での落車負傷から徐々に立ち直り、3月以降のFⅠ4場所で決勝確定板入りが3回。前走函館の準決7着はカマして逃げた佐々木悠葵の番手で別線に飛び付かれての結果。踏みだしでの一瞬の隙を坂本貴史―内藤宣彦の北ラインに狙われたが7着でも最終3角までは坂本の外で飛ばされずにこらえており、気配としては着ほど悪くはなかった。同県小原唯志や金子哲大、三好恵一郎、近況上向いている久木原洋といった自力型との連係か、目標不在なら動くことも考えての勝負。うまく流れに乗りたい。
 
 山賀雅仁も状況により動くことは可能だが基本は追い込み勝負。2月と3月のFⅠ優勝も目標があっての結果。ここでは自力主体に戦う同県同学年の小埜正義が一緒。前走宇都宮最終日は捲った小埜を差して1、2着。今度は決勝でのワンツーを目指す。
 
 門田凌は3月松阪ウィナーズCの選考規準をクリアして初日特選にシードされたように、1着の多さが魅力。GⅢでは直近の3月玉野記念(広島開催)で3勝を挙げた。ただ、要所でのもろさも同居。ここでは準決突破が当面のテーマになるか。基本は自力勝負だが、四国同士の新鋭で先行力ある石原颯との連係が可能になるケースも。そうなると有利に運べる。
 
 大塚健一郎は2月当地GⅢで落車負傷(三谷将と同じレース)し、ここが復帰戦。状態面がどうか。九州の若手で勢いある自力型の岩谷拓磨は不動會(吉岡稔真氏が主宰)の後輩。連係できれば展開が向く。
 
 復調途上だが菊地圭尚も底力がある。北の仲間は動くことも可能な同期高橋陽介や新山将史。菊地自身も動けるだけに、どう戦うかは微妙だ。