函館競輪開設71周年記念GⅢ「五稜郭杯争奪戦」は、15日から18日まで4日間にわたって開催される。中心は京王閣での激闘を制して新ダービー王となった松浦悠士。当地函館での初Vへ、ここも盤石の走りを見せそう。北のS班、佐藤慎太郎と守沢太志にとっても、ここは負けられない戦い。そのほか古性優作、松本貴治、高橋晋也、稲川翔、村上義弘、鈴木庸之らが出場。豪華な顔ぶれがそろって連日、熱いバトルが繰り広げられる。(電投番号「11#」)
何と言ってもレースでの安定感が抜群の松浦悠士。8月名古屋オールスターを含み6Vを決めた昨年は、11月小倉競輪祭を除く21場所で決勝へ。今年も10場所の全てで決勝に進み記念で4V、GⅠ最高峰のダービーで頂点に立った。松浦は先行タイプではなく自在型だ。競輪は展開の紛れがあり、落車や故障などのアクシデントも日常茶飯事。力の優劣だけでなく運の要素も少なからず結果を左右することは周知の事実。そんな中でほとんど崩れることがなく、揺るぎない強さを維持している。確かな力に加えて、卓越したレースセンスを併せ持つことが強み。もちろん、中国地区S班同士の盟友・清水裕友の存在が大きいことも当然。これら条件がそろい、今がまさに充実期。車券を買う側にとっても今の松浦ほど魅力にあふれ、信頼したくなるトップ選手はいないだろう。
函館出場は過去2回だけ。18年6月記念以来で約3年ぶり。バンクの印象は薄いかもしれないが、細かな不安は今の勢いなら気にする必要はないか。7月にはサマーナイトフェスティバルも開催される当地。まずは記念で結果を出し、夏のGⅡをイメージ良く迎えたい。自力でもいいが、中四国同士で先行パワーある松本貴治や1月岸和田記念(和歌山開催)でも連係した同県後輩の才迫開が一緒で、前を任せての組み立ても。どうあれダービー王として初めて臨むシリーズでしっかり実力を示す。
迎え撃つ北日本勢の軸は佐藤慎太郎だ。2月全日本選抜から4場所はリズムを崩したが、4月武雄記念で決勝に進み3着に入ると、続くダービーでも決勝へ。そして、死闘を演じた。佐藤は郡司浩平と連係。清水が逃げて、番手に松浦。3番手を郡司が確保し、佐藤はその後ろ。ゴールは清水の番手から抜け出した松浦と外を踏んだ郡司、清水と松浦の中を突っ込んだ佐藤で横一線。際どい写真判定の結果、佐藤は微差と微差で3着。大接戦に敗れ、悔しさをかみ締めた。その無念をここで晴らせるものではないかもしれないが、格式高いGⅠ決勝で自信を得た直後に走る北日本地区でのレース。気持ちを切らすさずに勝ちにいく。目標は同県で確かな機動力を備える高橋晋也や小松崎大地。頼れる後輩の仕掛けに乗って勝負をかける。
守沢太志も佐藤同様に北のS班戦士として、今年初めて走る北日本でのレースに気合。ダービーでは4走目に捲った高橋を差して1勝も、別線のけん制に阻まれた二予ではカマして逃げた高橋に続けず4着。そこで勝ち上がりの権利を失い、2月川崎全日本選抜、3月松阪ウィナーズカップに続く今年のビッグでの決勝進出はならず。その悔しさを今シリーズにぶつける。ここでは佐藤の後ろ回りからの勝負となるか。目指すのは16年6月久留米以来となる記念でのV。ラインの仕事をこなしたうえで、ゴール前での突き抜けを狙う。北日本では地元・北海道の菊地圭尚や大森慶一もV獲りに燃える。
近畿は大阪勢に注目。古性優作と稲川翔はダービーで3回同乗。決勝進出を懸けた準決は古性5着、稲川6着。ここで好連係へ。古性が前で強気に攻める。リーダー格は村上義弘。GⅢでは直近の西武園記念で決勝入り。ここも好走を見せるか。
関東のV候補は鈴木庸之。特選スタートだったダービーでは準決5着で決勝入りはならず。ただ、今年の記念では2回決勝へ。4月地元戦の弥彦ではFⅠで今期2回目のVを3連勝で決めた。函館では昨年8月ナイターGⅢ・ミリオンナイトカップでVの実績も。基本は自力だが、117期早期卒業組の菊池岳仁と信越同士での連係も見てみたい。
南関は西武園記念で完全Vの強力先行・野口裕史が上昇ムード。自在型で力のある松谷秀幸が番手回りとなるか。