奈良競輪の「スポーツニッポン杯争奪 三笠賞(FⅠ)」が、ナイター開催で26日に開幕する。実力きっ抗のメンバーで、V争いは激戦模様。安定感なら名マーカーの内藤秀久、実績上位の成田和也が双璧。復調の手応えをつかんだ皿屋豊や、黒沢征治のパワーも圏内。もちろん地元・奈良の三谷将太(36)も差はなく、遠征陣を迎え撃つ。S級2班にも青野将大や、売り出し中の太田龍希ら元気な機動力がそろった。白熱の攻防に注目したい。

気迫の立ち回り

三谷 将太

 〝俺の庭〟は譲れない。気迫のマーカー・三谷が闘志を前面に挑む。

 地元ではプラスアルファの力を発揮し、5月の秋篠賞で悲願のGⅢ優勝を慣れ親しんだバンクで飾った。

 決勝は目標の中西大が不発となったが、バックで追い上げ、最終2センターで一瞬、空いたインコースを突っ込む俊敏な動きで抜け出してのVゴール。レース後は「奇跡が起こったのかな。最高の結果です」と、笑みがこぼれた。

 その後も7月富山記念で準Vと安定した戦績。続く小松島FⅠ戦の決勝は3着に終わったものの、逃げる宮本隼輔を6番手から一気に捲るなどタテ脚を発揮。好調をアピールした。

 しかし9月西武園FⅠ戦の落車で勢いはストップ。11月のGⅠ小倉競輪祭は6、6、5、3、8着と、トップクラス相手で平凡な成績に終わった。

 直前の松阪FⅠナイター(17~19日)は「一番感触が良くないかも」と不安を口にしていた。初日特選は単騎の競走から、切り替えて外を伸びての3着。これは悪くはなかったが、準決は皿屋豊のカマシに反応が遅れるなど、イマイチの内容だった。

 どこまで立て直してくるかだが、当地では話が別。手薄な近畿ラインの中でも気迫の走りで活路を開くはず。〝ガッツマン〟三谷の戦いぶりに注目だ。

 実力横一線のシリーズだが、自力、追い込み型と粒がそろった南関勢。それを束ねるのが俊敏マーカーの内藤=写真=だ。117期の果敢先行・青野の先導、さらには機動力好調な渡辺豪らとタッグを組めるだけに有利に運べそうだ。今年のFⅠ戦は全て決勝へ進出と抜群の安定感を誇っている。中心的存在だし、きっぷの良いレースをする神奈川勢・東らとで上位独占を狙う。

 実績では成田が一番。8月平オールスターで4年ぶりのGⅠファイナリストになるなど、健在ぶりをアピールした。嵯峨―永沢の青森師弟コンビとの連係とのが決まればもちろん、たとえ目標不在でも自ら機敏なさばきと動きでシビアに活路を開こう。当地は3月のFⅠ戦で優勝の走路実績があり、互角のV争い。北は他にも自在型の桜井や、出脚鋭い小原が控える強力ラインアップだ。

 皿屋はぎっくり腰の影響もあったが前走・松阪FⅠ戦の走りは本来の迫力に近いモノがあった。「これを復調のきかっけにしたい」と本人も手応えをつかんだ様子だった。波に乗った時の爆発力は屈指の存在。短走路なら豪快なカマシ先行で突っ走る場面は十分ある。三岐勢・長尾とともにV争いに参戦しよう。

 地元・三谷の戦いぶりにも注目が集まる。近畿の機動力型は畑段、伊藤信らといったところだが、メンバー次第では自ら切り込み、捲りと気迫の総力戦で浮上を図ろう。今年の締めくくりを地元優勝で飾りたい。

 黒沢は9月松阪記念で落車(鎖骨と肋骨骨折)したダメージは大きかったが、前走の岸和田FⅠ戦では復調の動きを示した。本来は長い距離を踏める強じんなパワーがあり、さらに上積みがあればV圏内の1人。特別昇級初戦の岸和田FⅠ戦で素質の片りんを見せた117期・太田。若手らしい思い切りの良い走りで上位相手に波乱を呼ぶか。