「関東の英雄」12度目の正直

平原 康多

 9人の中で暮れの大一番を誰よりも多く経験している平原康多。だが優勝はまだない。9年連続通算12回目の出場となる今年、ついに悲願を果たす時が来たか。

 2月全日本選抜を勝った17年以来、GⅠを制しての権利獲得は4年ぶり。気づけば来年は40歳。それでも関東のエースは強いまま。トップレベルで最高の結果を出したことは気持ちの面で大きな自信につながる。加えて今年は頼もしい関東の後輩2人が一緒。吉田拓矢、宿口陽一と絆の深い同地区3人で厚いラインを組める。もちろん過去11回の経験も冷静にレースを進めるうえで代えがたいアドバンテージになる。今年は何としても!その思いは強いはずだ。

 ただ、少し心配になる捉え方もできなくはない。偉大な関東の先輩・神山雄一郎はグランプリに史上最多16回出場も、4年連続2着を含め優勝がない。平原も似た境遇?それがずっと続くのでは?いや今年こそ、そのジンクスを破る絶好のチャンス。ここを勝って平原が流れを変える。そして今もS級上位で挑戦を続ける53歳の神山に熱い風を吹き込む。平原にとって年明け2戦目となる来年1月大宮記念は吉田、宿口と一緒に神山と同じ配分。そこで4人がそろって決意を新たに。心をひとつにして燃える戦いを見せてほしい。

 関東地区は若手も勢いを増して盛り上がりつつある。今年のグランプリで平原が勝つことは関東時代の到来へ地区全体を活気づけ、発展させるためにも大きな意味を持っている。

砦の森のスピードスター

吉田 拓矢

 吉田と宿口も平原同様に今年のGⅠを制覇。初出場でも引き立て役だけでは終わらない。吉田は今年のGⅠ決勝で大車輪の活躍。高松宮記念杯で宿口、寛仁親王牌で平原の前で気迫の走り。2人のVに貢献。ラストの小倉競輪祭では単騎となった決勝で自らが栄冠に。ドラマのようなストーリーを成立させた。今年最後の大一番でもラインの前で自力勝負へ。自らも含め関東から優勝者を出し、笑顔で1年を締めくくりたい。

栄光に差し込む彩の陽光

宿口 陽一

 宿口はGⅢでの優勝も経験がなかったところから高松宮記念杯でGⅠ初決勝Vの快挙。ゴール前追い込んだ吉田を外から捉えスターの仲間入り。練習中の負傷で不出場だった平原に代わって?強さを発揮した。高校の先輩でもある平原を尊敬する気持ちは変わらないが、同じGⅠタイトルホルダーとして誇りを胸に晴れ舞台へ。ラインの役割を果たしながらV獲りに挑む。

北日本追い込みコンビは位置取りが鍵

 北日本の2人は追い込み型の佐藤慎太郎と守沢太志。佐藤は43歳だった一昨年、13年ぶりにグランプリの舞台に戻って優勝。そこから3年連続で権利をキープ。守沢も安定した強さを維持。昨年の初出場から連続での年間ベスト9入りを果たした。

 まず心配されるのが守沢のケガ。今月9日、広島記念初日に落車。右鎖骨右端部分の骨折で全治90日の診断。レースまでは3週間。完全な回復は難しいかもしれないが守沢は一般人ではなく最上位S級S班の競輪選手。心は簡単に折れない。走るなら目指すのは優勝。厳しい中でも力の限りを尽くして戦い抜くはずだ。

 2人にとって勝手が違うのは新田祐大がいないこと。今年はどう戦うか。南関1人の郡司と東日本での連係も含め、それぞれが勝つために最善な策を選ぶ。佐藤は昨年も不利な位置から直線突っ込んで3着で確定板入り。今年もしぶとい走りが光るか。

GP3度連係!!中国黄金コンビ

 清水裕友が4年連続で松浦悠士は3年連続。グランプリでは一緒に走るのが今年で3回目となる中国ゴールデンコンビ。一昨年は清水―松浦で並び昨年は松浦―清水。今年はどちらか。他のビッグ決勝での連係ではどちらかが優勝することが多い2人だが、グランプリではまだ結果を出せずにいる。過去2回のタッグは両者着外。ただ、昨年は惜しかった。逃げた脇本雄太―平原の後ろを松浦が確保。松浦は3角で捲れず不発となるも、後位から清水が猛烈に踏み込んだ。鋭く突き抜けるかと思われた瞬間、平原が4角で外にけん制。絡まれた清水は平原と共に失速。6着で涙をのんだ。

 印が重くなるのは後ろを回った方。共同記者会見(12月21日の午後)に注目だが松浦は今年のダービー王で直前の地元GⅢ広島記念で完全V。期待の度合いは大きいか。いずれにせよ2人の相性の良さを、競輪最高峰の決戦でも証明してみせたい。

 初出場の一昨年立川に続き、地元開催だった昨年平塚でも年間最大の一発勝負に敗れた南関のエース・郡司浩平。ただ、昨年の覇者は自身の後ろ回りから直線で空いたコースを突っ込んだ和田健太郎だった。今年も舞台は平塚と同じ南関地区。今度は自分が勝利を手にする番だ。自力で戦った過去2回の経験は必ずやここに生かされる。チャンスを逃さずに仕掛けてV争いへ。絶対に悔いは残さない。

ハンドルマジシャン

古性 優作

 古性優作は8月オールスターで悲願のタイトル獲得。先行日本一、いや世界でもトップを狙えるほどのパワーを持つ脇本雄太を差し切ってのGⅠ制覇は、ある意味、自力で勝つことよりも難しい。自信を深めた今、怖いものは何もないか。グランプリでの脇本との連係はかなわなかったが動く組み立てでも十分に勝ちにいける。初めて挑む頂上決戦でも臆することはない。強気に攻めてしっかり実力を発揮する。

ハマのホープスター

郡司 浩平

 初出場の一昨年立川に続き、地元開催だった昨年平塚でも年間最大の一発勝負に敗れた南関のエース・郡司浩平。ただ、昨年の覇者は自身の後ろ回りから直線で空いたコースを突っ込んだ和田健太郎だった。今年も舞台は平塚と同じ南関地区。今度は自分が勝利を手にする番だ。自力で戦った過去2回の経験は必ずやここに生かされる。チャンスを逃さずに仕掛けてV争いへ。絶対に悔いは残さない。