世代屈指の剛脚で躍動

犬伏 湧也

 果敢な仕掛けで売り出し中の犬伏湧也も楽しみな存在だ。今年は3月に名古屋でルーキーチャンピオンを制して世代のトップに輝くと、FⅠ戦でも5Vと無双している。ビッグレース初参戦となった7月のGⅡ玉野サマーナイトでは、一線級を相手に優出。類いまれなポテンシャルの高さを見せていた。初のGⅠとなった西武園オールスターでも存在感を示した。

 「いつもの状態を維持していればイケると思う。初めての6日間だけが不安」と意気込み臨んだ大舞台。西武園の1走目ではホームから一気に仕掛けると、後位の小倉竜二は離れる展開も、先行した根田空史を力でねじ伏せ、後続を突き放して圧巻のGⅠ初勝利を飾った。同時にトップ戦線でも十分通用することを改めて証明する一戦となった。2走目は落車もあって途中欠場となったが、1走目でのパフォーマンスは大きなインパクトとなった。

 パワーは同世代の中で群を抜いていて、豪快な攻めは魅力たっぷり。仕掛けにも迷いはなく、ちゅうちょせずにジャンから一気に仕掛けていくことも多々ある。末脚の粘りも強じんだが、スピードもピカイチ。特に踏み出しのスピードは競輪界のトップクラスにも匹敵するほどだ。直前が落車でケガが懸念されるところだが、準備期間は取れているだけに、しっかり整えてくるはずだ。今回も剛脚を遺憾なく発揮して、存在をアピールする。

 ◇犬伏 湧也(いぬぶし・ゆうや)1995年(平9)7月22日生まれ。徳島県出身の27歳。21年5月静岡でデビュー。同年11月にS級に特進。12月高知でS級初優勝を達成。今年の3月にはルーキーチャンピオン(名古屋)を制覇。8月西武園オールスターでGⅠ初勝利を飾っている。1㍍70、78㌔。血液型B。