防府競輪のFⅠ「スポニチ金杯争奪戦」が17~19日の日程で争われる。V候補筆頭は地元の宮本隼輔(27=山口)だ。昨年は地元記念で準V。決勝はラインの先頭で清水裕友の4連覇、山下一輝を含めた地元3人で確定板ジャックに導いたのは記憶に新しいだろう。今回はGⅠ全日本選抜出場組が不在で今年初優勝の絶好機。18年7月のデビュー節以来の地元戦Vに向けて初日からスピード満点の走りを披露する。A級戦は点数最上位の古川貴之や、地元の富弥昭、渡口勝成を中心にV争いが展開される。

『宮本隼輔が久々の地元Vを狙う』

 地元フィーバーだった昨年の防府記念。大エース・清水裕友の4連覇、そして2着が宮本隼輔、3着が山下一輝で地元3人が決勝でワンツースリー。その立役者は先頭を走った宮本だ。とにかく初日から気合十分の走りを見せ、21①❷と終わってみればオール2連対の大活躍。準決勝は新田祐大らを破る好プレーで、敵として戦った小倉竜二から「凄いスピードだった」と絶賛された。決勝は地元記念4連覇が懸かる清水を背にするプレッシャーに打ち勝って、最高の結果で地元ファンの期待に応えた。

 今年に入ってからも豊橋記念で準決進出、その後の小倉FⅠは決勝進出を果たし、追加参戦の奈良記念も意欲的な走りで決勝進出。地元記念以来だった短走路で持ち前のスピードをいかんなく発揮した。中2日で迎える今年最初の地元戦。優勝は昨年4月の高松FⅠ以来、地元でのVとなればデビュー節だった18年7月までさかのぼらなければならない。今回はGⅠ組が不出場で久々のVの絶好機。S級戦の地元勢は宮本ただ一人。地元ファンの期待を一身に背負うことになるだろう。地元FⅠは2連続で決勝に乗れていない。まずはきっちりとファイナル進出を果たし、その先の頂点を目指す。

『岩谷拓磨が得意バンクで躍動』

 地元の宮本に立ちはだかるのが、成長著しい岩谷拓磨だ。一昨年11月にS級に特別昇級し、今期から初のS1戦士に。昨年は26勝を挙げ、3月に宇都宮で行われるGⅡウィナーズカップ出場も決まり、初のビッグレースの舞台に立つ。

 防府バンクも大得意だ。A級時代は2節走って、両方とも完全V。S級では昨年5月に走って優出3着。9走して1度も確定板を外していない。持ち前のダッシュは短走路でさらに輝きを増す。ビッグレース出場前に、得意走路でS級初Vのチャンスだ。

【総展望】

 地元の宮本隼輔が昨年4月の高松FⅠ以来のVを狙う。追加で奈良記念に参戦して今回は中2日。疲労は気になるが、地元の気合いで乗り切れるはず。むしろ短走路続きなのはプラスとなるだろう。四国勢はタテ脚鋭い原誠宏や、北村信明に、点数を上げてきた木村隆弘、自在に動ける山形一気がスタンバイ。中国勢は昼田宗一郎の機動力や、ベテラン三宅伸も忘れてはならない。三登誉哲のパワフルな自力戦にも注目だ。

 中近勢は近畿に機動力タイプがそろって、中部に追い込み選手がそろった。川村晃司や畑段嵐士、藤井栄二らの攻めに乗って、志智俊夫や吉村和之、山内卓也が差し脚を伸ばす。直前の佐世保FⅠで優出3着だった筒井裕哉も軽視はできないだろう。

 九州勢も楽しみな選手がそろった。3月のウィナーズカップでビッグレースデビューを果たす岩谷拓磨を筆頭に、好調の小岩大介の差し脚、林慶次郎の先行力も見逃せない。追加参戦の大坪功一は前場所の地元・小倉FⅠで優出。今回もV争いに加わってきそうだ。津村洸次郎は落車による負傷で復帰5場所目。力はあるだけに、そろそろ結果を残してもおかしくはない。牧剛央の手堅い走りも魅力だ。佐藤幸治は防府が大得意。20年10月のFⅠ戦で完全Vを飾り、A級時代にも優勝経験がある。昨年8月のFⅠ戦も準優勝で、それ以来の当地参戦。再び天神バンクで大暴れを狙う。松岡孔明はA級だった昨年12月に当地で完全V。そこからさらに6連勝して特別昇級した。S級復帰後は苦戦を強いられているが、スピードある捲りは脅威となりそう。最後に渡辺豪大を。直前の立川FⅠまで静岡籍で走っていたが、今回から福岡支部として戦う。前期はA級に落ちたが、9月に3場所連続完全Vを達成してすぐにS級復帰を果たした。年頭から連続失格を喫したが、〝福岡支部の渡辺豪大〟として名刺代わりの激走に期待しよう。

 A級戦は前期S級の古川貴之、城戸俊潔を中心に、地元の富弥昭、渡口勝成、さらには猪俣康一、山口聖矢がV争いを盛り上げそうだ。

 富と渡口の地元コンビは先月の小倉ミッドナイト初日と決勝で連係。初日は渡口が押し切ってワンツーを決め、決勝は富が2着で渡口が4着だった。その小倉が3日間2着だった富は、直後の名古屋でも3日間2着。現在は6走連続で2着だ。ちなみに地元戦は昨年12月の準V以来。06年3月以来の地元優勝を目指して奮闘する。昨年末のレインボーカップ・チャレンジファイナルで2班に特別昇班した渡口は、1、2班戦でも3節連続で決勝進出(直前の高知は決勝日が開催中止に)。得意の地元戦で1、2班戦初Vを狙う。