防府競輪のFⅠ「スポニチ金杯争奪戦」が12日に幕を開ける。V候補筆頭は地元の山下一輝(32=山口)だ。昨年の地元記念は決勝進出を果たして清水裕友、宮本隼輔に続く3着。待ちに待った今年の地元初戦は、高松宮記念杯組が不在で競走得点最上位のシリーズリーダー。昨年2月の地元戦以来のVを狙って奮戦は必至だ。今回に懸ける意気込みや近況についてを語ってもらった。A級戦は先行力魅力の林昌幸を筆頭に、福島栄一、小原周祐、栗田貴徳と、四国勢がV争いをリードしそう。

 地元FⅠの主役を務める山下一輝。今期から初めてS級1班に昇格し、S1として初めて地元戦を走る。大活躍した昨年の防府記念を振り返りつつ、近況の調子や今節への意気込みなどを聞いた。

――昨年の防府記念は清水裕友、宮本隼輔に続く3着。地元勢で上位独占を果たしました。

 「出来過ぎでしたね。いい選手と走れて、結果を出せたのは自信になった。また清水、シュン(宮本)の後ろを回れるように頑張りたい。なかなか回れる位置ではないので」

――今年からS級1班に。今年のここまでを振り返っていただけますか。

 「防府記念後くらいから今年の2月くらいまで流れが良くなかった。練習の内容とかを変えてみたりしたんだけど、それがかみ合わない感じだった。3月の名古屋記念あたりからいろいろな面で上向いてきたのかな」

――どんな感じに変えたんでしょうか。

 「単独でやる練習が増えましたね。こんな時代なのもあって。それに少しずつ慣れてきたっていうのもある。順応し始めたんでしょうね」

――5月のダービーでは2走目から3連続で車券に貢献。2走目は久々の1着でした。

 「ダービーは奇跡でしたね。特に2走目の1着は自分でも驚いた。3、4走目は前の選手が頑張ってくれて結果を残せた」

――全プロ記念競輪も3、4着と手堅い走りでした。

 「全プロはスピードの面で課題はあったけど、自分なりに手応えはあった」

――その後の練習の感触はいかがでしょうか。

 「地元戦に向けて順調にできている。状態は悪くないと思う」

――シリーズリーダーとして迎える地元戦です。

 「1班になってから地元を走るのは初めてで(地元で)特選スタートも初。アドバンテージをしっかりと生かしたい」

――地元FⅠは20年6月と21年2月にVがあります。

 「やっぱり気合いが入るし、流れがいい方向に行ってくれる事が多いですね」

――最後にあらためて、地元FⅠに向けての熱い思いを聞かせてください。

 「ここはちょっと自分の中でも勝負したいな、という気持ちがあって、(GⅠの)裏開催のこういうところで結果を残したい。頑張ります!」

☆S級展望☆

 山下一輝が昨年2月の地元FⅠ以来のVを狙う。昨年11月の地元記念以降はビッグヒットがなかったが、5月のいわき平ダービーでは2走目以降1、3、2着と気を吐いた。自身も上昇の手応えを感じており、今年最初の地元戦で結果を残したいところだ。

 中国勢は白星量産中の片岡迪之や、2月の当地「スポニチ金杯争奪戦」で決勝進出した三登誉哲が持ち前の機動力で沸かせてくれるだろう。西田雅志の鋭い差し脚にも警戒したい。

 四国勢は経験豊富な堤洋や佐々木則幸、三登同様に2月の当地「スポニチ金杯争奪戦」で優出3着だった山形一気に、上野雅彦のスピードも軽視できない。

 中部勢は皿屋豊、松岡篤哉の機動型が引っ張る。皿屋は上位陣相手の好走が増えており、今回のメンバーなら昨年1月京王閣以来となるVの期待も高まる。松岡は先月末の岐阜、さらに和歌山で決勝進出と上昇ムード。今回も見逃せない。

 近畿勢は中井太祐、西岡正一のS1コンビが中心。中井は直前の取手記念2、3日目に白星ゲット。G戦線が続いて4場所ぶりに7車立ての戦いになるが、近況の動きの良さなら問題ないだろう。積極性抜群の藤井栄二も別線にとっては脅威の存在になりそう。

 九州勢はスピード自慢の伊藤颯馬が追加参戦。防府は過去5節走って3優出と相性は上々だ。中2日の強行日程でも見逃せない。4月の武雄記念優出6着(落車滑入)以来の出走になる大坪功一も伊藤との連係から上位進出を狙う。防府得意の佐藤幸治や、一昨年の防府記念で決勝進出を果たした市橋司優人も不気味だ。

☆A級展望☆

 A級戦は四国勢に実力者が勢ぞろい。2班ながら先行力トップの林昌幸をV候補筆頭に推したい。昨年10月に3場所連続完全Vを飾って特別昇班を果たして、1、2班戦でも2回のVがある。今年は12場所走って(単発レースを除く)、決勝進出できなかったのは1場所だけ。防府は3月に走って3①❻だった。積極的な攻めで33バンクを駆け抜ける。

 福島栄一、小原周祐に、栗田貴徳も競走得点90点オーバー。4人が一緒になった際は結束するのか、別線勝負になるのかも興味深い。今年3Vの谷口明正に、50歳になっても衰え知らずの舛井幹雄もV候補の一角。直近4節で3優出の勝谷勝治の勢いも魅力だ。近藤範昌、田中和磨の岡山コンビや、池田浩士と飯田裕次の九州両者も怖い。3場所連続完全Vで特別昇班初戦の石塚慶一郎が防府初参戦で大暴れを狙う。