東日本

頼もしき総大将

平原 康多

 現在賞金ランキング5位で記念は3V。平原康多は今年、GⅠVこそないが、安定した成績を残している。年末のグランプリ出場へ向けて視界は良好だ。今年になって大きく変わったことがある。それは関東地区の自力型の大きな成長。S班の吉田拓矢はもちろん、真杉匠がGⅠ決勝の常連となり、佐々木悠葵、吉田有希らの新戦力が台頭し連係する機会が増えてきたことだ。自身も彼らの成長をしっかりと感じ取っている。

 「関東の若手選手が頑張っているのは励みになります。連係するときはしっかりとラインで決めたい」
 長年、関東を孤軍奮闘といえる走りで引っ張ってきた。先行、捲りの自力を主武器に、いざとなれば厳しく好位を狙う走りもいとわない。この熱い走りに若手は感化される。壁にぶちあたった時は平原にアドバイスを求め、その熱意に誠実に応えてきた。誰もが認める関東〝総大将〟としてビッグレースの舞台に立つ。

 高松宮記念杯は初のGⅠを制した思い入れのある大会だ。かつての大津びわこ競輪場で2度のV。宮杯Vからスターへの道は始まった。昨年は練習中の落車によるケガで欠場。宿口陽一が先輩の平原の分もと、こん身の差しでGⅠ初Vを決めた。今回、関東の若手の成長は頼もしく、平原自身にも期するものがある。まして5月のダービー決勝で封じられた脇本雄太はいない。「毎年、GⅠを勝ってグランプリに出場することが目標です」ときっぱり。実現する時は来た。

レース展望

 東日本の勝ち上がりは、自力選手の層で優勢な関東ラインが主導権を握る。中心は総大将の平原康多だ。3日目の東王座戦では吉田拓、真杉らを巧みにリードして抜け出し、決勝戦で西日本の代表との対決になるか。

 吉田拓矢は昨年が惜しくも準V。今回にかける気持ちは強い。動きは上昇で好機に豪快スパートを決める。吉沢純平が直前の地元取手記念Vで勢いに乗った。メンバー構成上、マークの走りも十分でタテ脚を発揮する。吉田有希が初のGⅠで積極的な走りで上位進出を狙う。諸橋愛も気迫あふれるレース運びに定評ある。平原に続いて決勝進出を目指す。

 北日本勢は新田祐大の復調具合がカギを握る。ダービーは前検日の練習でアクシデントがあって欠場。今回が復帰戦になる。完調とはいえないまでも爆発的なパワーは脅威だ。北日本の主軸となるのは佐藤慎太郎。屈指のさばき、直線の切れ味は健在で安定した成績を残し賞金ランキングは2位。今年もグランプリ出場はほぼ確定している。新田、先行の新山響平を巧ガードしての突破は十分。成田和也が完全復調だ。シャープな運びから混戦を抜け出してくる。

 南関東の布陣も強力。今年になって精彩を欠いている郡司浩平だが、立て直してくることは必至。迫力満点の捲りを繰り出すことはもちろん、深谷知広の存在は心強い限り。パワー屈指の深谷が関東、北日本を力でねじ伏せる展開になれば巧追から鋭い差しを決める。和田真久留鈴木裕がラインを固め進出をうかがう。