福井競輪の開設72周年記念「不死鳥杯(GⅢ)」は、7日開幕。地元の大エース脇本雄太(33=福井)のV確率は限りなく高く、脇本一色のシリーズになる。高松宮記念杯を制した古性優作を筆頭に松浦悠士、宿口陽一のS班選手の力の走りにも注目。他では勢いある瓜生崇智(27=熊本)も気になる存在だ。


脇本ワンマンショー

 2月奈良記念から復帰。以後の快進撃は想像以上のものだ。5月平ダービーでは6度目のGⅠVを飾り、グランプリ出場を決めた。

 「今年は出場できるGⅠが限られているので優勝したい一心でした」

 ケガでの長期欠場で今年初のGⅠ参戦だった。それでも自らの力で一発でチャンスをものにした。以後も勢いは止まらない。GⅢ、FⅠ戦では当然のように無敵だ。他ラインは厳しくけん制して脇本を後方に置く展開が大半になっている。先頭の自力選手は目イチで発進するが、悠々と大外を上がり10秒台後半で捲り切ってしまうのだから立てる策はない。脇本の1着は当然で後ろが離れるかどうかがレースのポイントになっている。

 華々しい勝利が続いているが当然、体にダメージは残る。痛めた腰の具合と相談しながら体のケアに余念がない。また練習場所を地元の福井に移して、トレーニング環境を整え「地元のみんなで頑張っていきたい」と次世代の選手の育成にも余念がない。

 地元記念は過去5Vと圧倒的だ。昨年は東京五輪で出場できなかったので、今回にかける気持ちは強い。 「しっかり調整してファンの期待に応えられるようにしたい」

 狙うはVのみ。ここが終われば西武園オールスター(8月9~14日)から続くビッグレース戦線が待っている。地元ファンの前で、改めて最強の走りを証明す


瓜生 さえる自在戦

 5月函館記念で番手捲りの清水裕友を差して記念初Vを飾った瓜生。「ラインのおかげです」と話すが、勝ち上がりでのシャープな動きからも確実に地力アップを感じさせた。続く6月玉野FⅠで光ったのは準決勝の運び。2番手を回り捲ってきた山口拳矢をブロック、さらに番手の選手を飛ばし、ゴール間で山口を差す持ち味全開の走りだった。自力よりも自在の走りに比重を置き、位置取りも厳しく今の若手選手の中では一味違う存在感を放っている。

 「まだまだ全然、力は足りないのでトップスピードを上げることが課題です。今、熊本の若手はみんな強いし頑張っているので励みになります」

 最強近畿ラインを、どこまで苦しめることができるのか。今後の活躍を占うシリーズになる。


先行予想

 脇本先頭の近畿勢が強力そのもの。マークはもちろん、岸和田高松宮記念杯を制した古性だ。今後のビッグレース、年末のグランプリをニラみ、追走の感触を確かめていく。脇本を巧追からG前勝負へ。両者のワンツー決着が有力になる。南のマークさばきも屈指のものでガッチリとラインを固めていく。地元期待の野原もパンチの効いた先行、捲りで決勝進出を目指す。

 追加参戦の松浦がS班のプライドで近畿勢に挑む。4月川崎記念以降、優勝はないがレース運びは的確。近畿ラインを後方に置いての仕掛けで突破を図る。

 関東勢はS班の宿口を中心にスクラムを組む。森田が積極的な走りを見せて続く宿口が力強く踏み込む。好調・吉沢がタテ脚を発揮するシーンは十分。南関勢の布陣も手ごわい。先頭を走る松井がダッシュ力を生かして先制。同県の内藤がマークを守り、成績安定する鈴木裕が脚をためていく。北日本の阿部は好位を狙っての走りになりそう。

 九州勢は売り出し中の瓜生の走りに注目。5月函館GⅢを制して勢いに乗る。自力主体に組み立て、勝負どころでは位置取りも厳しく攻め込み他ラインを崩すか。中本が任せて強襲だ。中部の柴崎は乱戦を待って捲りを狙う態勢に。

 長期欠場からの復帰戦となる菅田壱道がシャープな捲りで台頭する。同じく復帰戦の鈴木竜士が気迫あふれる走りで抜け出すか。