S級見どころ

 前走西武園オールスターで史上5人目となる完全Vを果たした脇本雄太。ナイターGⅠでの激闘を終えてから中5日。再び関東地区のバンクに登場する。脇本が立川を走るのは19年グランプリ以来。2年8カ月前の大一番では打鐘からカマして逃げ、¼輪差で2着。優勝は脇本の番手に飛びついた新田祐大の後ろから中を割った佐藤慎太郎。脇本は逃げて納得のレースをしつつも、あと一歩のところで頂点に立つことができなかった。今回は7車立てFⅠ。レースの格は違うが抜かりなく勝って、ここではファンの期待にしっかりと応える。誰の抵抗も許さない。3日間、王者の走りで完全Vを決める。

 脇本と近畿でラインを組む追い込み型は東口善朋。5月いわき平ダービーで決勝進出。準決を脇本―古性優作の3番手回りで突破し、決勝もラインの3番手で連係した。脇本の番手を回ったのは2年前、20年10月前橋寛仁親王牌。準決は赤板で7番手から仕掛けて出た脇本にぴったりマークを決めて2着。決勝も赤板8番手カマシで逃げ切りVの脇本を好追。踏み出しからしっかりと食らいつき、残り半周のバックからジワジワ離されたが3着でゴールしてGⅠ決勝で初めて確定板入りを果たした。ここでも強烈に出る脇本に続くことに全神経を集中。差すことは難しくても近畿でのワンツーは意地でも外せない。立川ではFⅠでV歴があるが、出場は16年12月GPシリーズ(❼①❻)以来で5年8カ月ぶり。久々でも堅実な走りで存在感を示す。

 北日本の主力は福島の2人。オールスターでも脇本と戦った小松崎大地成田和也だ。確かな機動力を備える小松崎と追い込みで強さが戻った成田。両者とも今年のビッグ戦線で活躍を続け好調をキープしている。オールスター決勝では新山響平の番手回りだった小松崎だが、ここでは自力で持ち味を生かすことになりそう。後ろで援護する成田と力を合わせて難敵撃破なるか。前々に攻めて活路を切り開く。

 逃げ一本に徹して脇本に立ち向かうのが強力先行の野口裕史。6月川崎FⅠ決勝で脇本と対戦。前を取り打鐘から目いっぱいの先行も脇本の強烈な仕掛けに屈して6着。ここで再び挑戦。積極策でどこまで粘れるか。援護役は南関同士の東や同県の山中秀将、近藤保。ラインが厚くなれば有利に戦える。

 気合では立川がホームの河村雅章だ。6月FⅠでは決勝3着。自力も含め熱い走りで見せ場をつくる。