村上は今年の初戦だった大垣スポニチ杯に続いて、直前の宇都宮で2場所連続のVゴール。古豪復活の風が確実に吹き始めた。

 近年は持病の腰痛と向き合いながらの戦いだった。そこに昨年1月の大宮記念での落車が重なり、約半年間の戦線離脱。7月の函館で復帰を果たしたが、年内は中3日や月3回斡旋は極力避けていた。現在も「痛くないところがない」という厳しい状況である。口には出さなかったが、一時は実兄・義弘の現役引退による精神的ダメージもかなりあったはずだ。それでも今年からは通常営業に戻すと決意した。

 「脇本と古性で新しい競輪、新しい近畿が始まっているということをグランプリで見せてくれた。自分たちも過去は捨てるぐらいの気持ちでやるしかない」

 そう決意した今年の村上は、間違いなく前しか見ていない。1年3カ月ぶりのGⅠ復帰となる2月の全日本選抜(高知)が最大のモチベーションとなっている。

 記念は昨年10月の熊本記念in久留米以来。

 「久留米の決勝2着はかなり自信になったし、9車立ての方が自分の色を出せることも再確認できた。とくにGⅠは久しぶりで緊張するけど、一年生のつもりで頑張りたい」

 頼もしく育った近畿の後輩たちが新しいベクトルを示してくれた。そして、村上博幸の第二章もすでに始まっている。いままで培ってきた技術も経験も、まだまだ近畿軍団には欠かせない存在だ。ラインの一部としてしっかりと機能して、新近畿軍団を盛り立てる。



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