直球勝負!!車券奮投記
元ソフトバンクエース 摂津正氏


 別府競輪は18~21日に「第7回ウィナーズカップGⅡ」を開催する。〝オランダ王国友好杯〟として行われるビッグレースには脇本雄太(33=福井)らトップ選手が出場し、最終日には「ガールズケイリンコレクション」も実施する。決戦に先立ち、プロ野球元ソフトバンク投手の摂津正氏(40)が現地を訪問。別府競輪場や競輪の魅力を体感した。

 沢村賞、最優秀中継ぎ投手という2つの賞を手にするなど一時代を築き13年のWBCにも出場。球史に名を刻んだ右腕は「別府市には年に一度は温泉に入りに来ますが、競輪場は初めて」とあって、これまで車券購入経験はないが、プロ入り前に知り合った競輪選手から体格の良さを見込まれ「競輪をやってみないか」と誘われたという意外な接点を披露した。

 まずは腹ごしらえをしてからレース予想をすることに。摂津氏が向かったのは、サブスタンド1階にある「味百銭 成田屋」。スタッフの「ウチは全国の競輪場の中で一番おいしいよ!」という元気いっぱいの声を聞き、名物の「ホルモンめし」(800円)を注文した。プリプリのホルモンにこんにゃくなどが入って食べ応えは十分。「手の込んだ料理が手軽に食べられるし、とてもおいしい。値段も安いし、いろいろなメニューがあっていいですね」と絶賛。ピリ辛のホルモンを堪能し、額に汗がにじんだところで初体験への〝肩慣らし〟は完了した。

 続いて、別府競輪ならではのサービススポット「初心者ガイダンスコーナー」に足を向けた。

 昨秋にリニューアルし、白と黒を基調とした落ち着いた雰囲気の一角で、制服姿の女性スタッフから競輪について一から教わることができる。

 摂津氏も「出走表プリント機」から出力。その表の読み方や「ライン」など競輪独特の戦法、マークシートの記入法まで丁寧に教わった。券売機の操作も常駐しているスタッフが説明してくれるので安心安全。手厚いサポートに「初心者にはありがたいですね」と感謝しつつ、スタンドでレースを生観戦。

 号砲一発、先頭誘導員を追う選手たち。終盤の打鐘からの加速、単騎選手の厳しいコース取り、ラインの結束にゴール前の争いという激しい展開となった。初めてレースを目の当たりにした摂津氏は「無音なのかなと思ったら、目の前を選手が通ったら、うなっているじゃないですか!タイヤが地面をかむ音がすごい。風を切る音もそうだし、選手同士でガチガチ当たっていた」と、その迫力に、ポーカーフェースが売りだった摂津氏も驚きの表情に変わっていた。

 そして、いよいよ車券予想の時間になった。

 スポニチの競輪面を熟読しながら検討。別府は海沿いにあり、冬場は強烈な向かい風が吹くこと、コース周回は400㍍だが直線は約60㍍と一般より長いことなどを考慮。さらに「ラインや師弟関係があるのですよね」とつぶやきつつ、近況や競走得点を参考にマークシートを塗っていく。

 2車単複、ボックスなど賭け式はさまざまだが「本命を軸に3連単です!」と力強く宣言。コントロールの良さで球界を代表するエースに上り詰めたが、競輪では〝直球勝負〟にこだわった。

 最初の勝負レースは地元ラインのワンツーに別線を絡めたが、的中ならず。ならばと次のレース、またも3連単で勝負したものの、落車のアクシデントもあり、ビギナーズラックは訪れなかった。

 それでも、身を乗り出すようにレースを見守り、展開や結果に一喜一憂。「惜しいところが2回続いて…余計に悔しい。また来て当てたいという気持ちになる」と興奮を抑えきれなかった。

 ホロ苦い〝デビュー戦〟となったが、その表情は晴れやか。

 「迫力があったし本当にすごいなと。もっと早く知っていれば良かった。初めて来た人でも説明を聞いて最初のやり方さえ分かれば、十分に一日中楽しめる」と熱弁を振るった。

 購入法としてインターネット投票もあることを知ったうえで「現地に行くことで醍醐味が味わえる。実際に見ることが大事。僕もまた見に来たい」と語った。

 そして、アスリートとして競輪選手の闘志や肉体の強度にも注目。「やっぱり脚の太さ。ペダルをこぐスピードはめっちゃ速かったし、あれだけガシガシ当たって、もう格闘技。野球選手よりフィジカルは強いのでは」と驚嘆した。

 車券予想の初陣は飾れなかったが、競技の魅力を知ったことで「ウィナーズカップ」へ楽しみは増すばかり。「別府の地で大きなレースがある。絶対に面白い。町には観光施設があるが、ぜひ競輪場にも来てほしい」と呼びかけた。

 その「ウィナーズカップ」のキャッチフレーズは、屈指の温泉地であることにちなみ「勝者の競演。源泉より熱く、湯けむりより高みへ。」に決まった。「競輪場によって、その場、その場の特徴があるんですね。観光を兼ねて家族で来てもいい。ガールズコレクションもあり、少しでも興味があれば楽しさが伝わると思う」。現役時代「寡黙なエース」と呼ばれた男が、ここまで夢中になれるのも競輪の力。引退から約4年、摂津氏の言葉は最後まで力強かった。

 ◆摂津 正(せっつ・ただし) 1982年(昭57)6月1日生まれ、秋田県出身の40歳。秋田経法大付―JR東日本東北を経て08年ドラフト5位でソフトバンク入り。入団1年目の09年に救援投手として70試合に登板。5勝2敗34ホールド、防御率1・47を記録し新人王と最優秀中継ぎ投手賞に輝く。11年からは先発に転向。12年には17勝5敗、防御率1・91の成績で沢村賞、最多勝。18年引退。通算282試合79勝49敗、1セーブ、73ホールド。

 ▼別府競輪場 所在地は大分県別府市亀川東町1の36。「ウィナーズカップ」期間中は別府駅(東口)と競輪場の往復、臨時駐車場→亀川駅→競輪場の無料シャトルバスを運行予定。電車利用の場合は亀川駅か別府大学駅で下車。
詳細は公式サイト → https://beppu-keirin.net


グルメ&観光教えます
「ツーリズム別府大使」脇あかり


 別府出身で「ツーリズム別府大使」の脇あかり(25)が地元の魅力をPRした。

 15歳まで地元で過ごし、その後は上京して13年から東京パフォーマンスドールで活動。「実家のお風呂が温泉だったので…。温泉だったり、食べ物だったり別府の良さが東京に来て分かりました」と明かし「温泉の中でも蒸し湯、砂湯、泥湯を推している。美肌にもなれるし、今サウナがはやっていると思うが、蒸し湯は岩盤浴に似ていてすっきり入れる」と語った。

 グルメは「鉄輪(かんなわ)に野菜を蒸すことができるお店がある。〝甘太くん〟というさつまいもが大好き。軽く食べられるし、地獄蒸しをぜひ試してほしい」とアピールした。

 観光では「地獄めぐり」がオススメで「鉄輪周辺にあってインスタ映えする。見て楽しむことができ、家族でもカップルでもいい」と答えた。

 平塚競輪のイメージキャラクターになった経験があり、その縁もあって今回のウィナーズカップポスターに起用されるなど、近年は密接に活動中。「競輪はラインを組むのに、最後は個人戦になることが面白いと思うようになった。ここが動くタイミングなんだ、こんな作戦できたんだなって分かって楽しくなりました」と心を弾ませる。

 ウィナーズカップでは最終日の21日に来場予定。まもなく地元で開催されるビッグレースへ向け「別府はグローバルで温かい場所。町をめぐりつつ、別府競輪場に来て車券もぜひ当ててほしいです!」と元気いっぱいPRした。

 ◆脇(わき)あかり 1998年(平10)1月24日生まれ、別府市出身の25歳。趣味は韓国ドラマ観賞、ゴルフ。特技はダンス、餃子づくり。1メートル62。血液型A。


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