V争いはS級S班の5人が中心になるのは間違いないだろう。昨年の72周年記念を制した郡司浩平(神奈川)は70周年記念の覇者でもあり、3度目の熊本記念Vを目指す。直前の松阪記念で今年4度目のGⅢ優勝を飾った。5年連続のグランプリ出場へ黄信号がともっているが、GⅢ連続Vとなれば終盤戦に向けて一気にムードも高まっていくはずだ。

 昨年に続いて今年もGⅠ2Vの古性優作(大阪)は67周年記念のチャンプ。熊本記念は準決勝で5着に敗れた19年の69周年以来の参戦。久留米を走るのもその時以来だ。先月の青森GⅡは準決勝進出を決めながら家事都合で途中帰郷。やや競走間隔が空いてしまったが、グランプリ王者の名に恥じない圧巻の走りを披露してくれるだろう。

 賞金ランク5位で5年連続のグランプリ出場をほぼ確実にしている松浦悠士(広島)だが、8月の西武園オールスター4日目のシャイニングスター賞で落車。鎖骨と肩甲骨を骨折し、今回が復帰戦になる。久留米GⅢは5度全てで優出を果たし、熊本記念も3度の優出がある好相性の大会だ。万全には程遠いだろうが、持ち前のレースセンスと読みでどこまでカバーしてくるか注目したい。

 今年は2度の落車でなかなか波に乗り切れていない守沢太志(秋田)は現在、賞金ランク11位。寛仁親王牌か競輪祭でホームランをかっ飛ばすためにも、16年6月の久留米記念でGⅢ初Vを飾った思い出のバンクで結果を出して勢いをつけたい。

 地元勢は2度目の地元記念Vを狙う嘉永泰斗(熊本)と4度目の地元記念Vを狙う中川誠一郎(熊本)を筆頭に、S1戦士8人、S2戦士3人が参戦。2年ぶりのVを目指す嘉永は今年2度のGⅡ優出に、5月の函館記念をV。青森GⅡの決勝は単騎戦ながら、2車単の1、2番人気が嘉永の頭からになるほど支持を集めた。ビッグレースでの存在感は高まるばかりだ。昨年は鎖骨骨折から1カ月も満たない間隔で強行復帰。二次予選で9着に敗れたが、それ以外の3走で白星を挙げて意地を見せた。万全の状態で臨めそうな今年は大暴れが濃厚だ。中川は2年ぶりの地元記念登場。直前の宇都宮FⅠで1年半ぶりのVを飾ってリズムは良好だ。熊本記念には欠かせない男。ケガで出場できなかった昨年の分も奮闘してもらおう。

 中本匠栄(熊本)は1月の大宮記念と5月の函館記念で優出があるが、全体的に見ると本来のパフォーマンスを発揮できているとは言いがたい。まずは3年ぶりの地元記念優出を目指して流れを変えたい。

 伊藤旭(熊本)、松岡辰泰(熊本)、松本秀之介(熊本)の117期トリオからも目が離せない。伊藤と松岡は久留米GⅢで決勝進出を果たしており、松岡は昨年大会で地元からただ一人、ファイナル入りして盛り上げた。松本は競輪祭初出場も決定して気分良く参戦できそうだ。

 なかなかスランプ状態から抜け出せないでいる瓜生崇智(熊本)だが、9月の別府FⅠで半年ぶりに節間2勝をマークした。気持ちで走るタイプだけに、地元記念はこれ以上ない舞台。一昨年は嘉永に続く準Vだった。準決勝で敗れた昨年の悔しさを晴らす結果を残せるか。追加参戦が決まった塚本大樹(熊本)はデビュー15年目でうれしい地元記念初出場だ。4月に久留米で行われたGⅢ「大阪・関西万博協賛競輪」で優出を果たすと、7月の玉野FⅠでS級初V。地元記念でも勢いを示したいだろう。

 東矢昇太(熊本)は5年ぶり、緒方将樹(熊本)と東矢圭吾(熊本)は初の地元記念。話題の面でも東矢ブラザーズの奮闘に期待したい。

 九州勢は山田英明(佐賀)、北津留翼(福岡)、伊藤颯馬(沖縄)に、6月の地元記念で存在感を強烈にアピールした後藤大輝(福岡)もいる。一枚岩となって強力な遠征勢に抵抗する。

 北日本勢は新山と守沢のSSコンビに加えて永沢剛(青森)、菅田壱道(宮城)、和田圭(宮城)、小松崎大地(福島)がいる。菅田は09年の久留米記念でGⅢ初制覇するなど当地好相性。ダービーで優出した和田の鋭い差し脚も見逃せない。

 関東勢は地元GⅠを控える諸橋愛(新潟)に、坂井洋(栃木)、菊池岳仁(長野)に注目。坂井は徐々に本来のスピードが戻ってきている。6月の久留米記念では優出を果たし、バンクのイメージもいいだろう。

 南関勢は郡司に、絶好調の和田真久留(神奈川)がいる。直近3節はFⅠ戦ながら❶①❶、❶①❷、❶①❶と、ほぼ完璧な成績だ。久留米は約2年ぶりの出走になるが、近況の強さならバンク不問で脅威になる。新田康仁(静岡)の鋭いタテ脚も健在だ。

 中部勢は、直前の地元・豊橋記念で優出した岡本総(愛知)や、橋本優己(岐阜)に上位進出の期待が懸かる。6月の久留米記念で準決勝まで勝ち進んだ横関裕樹(岐阜)は近況も好調。8月の玉野FⅠでVを飾った松岡篤哉(岐阜)も軽視はできない。

 近畿勢は大黒柱の古性に、山田久徳(京都)、中西大(和歌山)が出走。久留米市出身で気合が入る中西に注目だ。

 中国勢は直近4節で2Vの河端朋之(岡山)が武器の強ダッシュで魅了する。

 四国勢は復調した太田竜馬(徳島)を筆頭に、追い込み陣も渡部哲男(愛媛)、橋本強(愛媛)、久米良(徳島)と強力メンバーが揃っている。


熊本再開への思い

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