先行予想

 7月のFⅠ(20日~22日)で8年4カ月ぶりに再開した熊本競輪。震災後、16年の66周年から昨年の73周年まで久留米競輪場で代替開催された「火の国杯争奪戦」は武田豊樹が優勝した15年の65周年以来、9年ぶりの本場開催となる。

 共同通信社杯(宇都宮)の3日目に落車した清水裕友が欠場。代わりに松浦悠士が追加参戦。SS班4人を筆頭に豪華版だ。さらに1班にも成田和也、郡司浩平ら輪界を代表する実力者が顔を並べる。Vの行方は混沌(こんとん)。脇本雄太が圧倒するのか、復活松浦が存在感を示すのか。それとも深谷知広、山口拳矢が一撃を見舞うのか。いや、11人が参加する地元熊本勢が猛然と立ちはだかる。

 折り合いは今のところ微妙だが、3年前の71周年以来2度目の地元記念Vを目指すニューリーダー嘉永泰斗を軸に勝ち上がり段階から2段駆けの陣容ができあがることだろう。競輪はラインがモノを言う。地元記念3Vを誇る中川誠一郎、前回覇者・中本匠栄、さらに瓜生崇智、松本秀之介ら地元は役者ぞろい。より堅い絆で結ばれるスクラムで強力な別線勢を打破する。

 そうはさせじとSS班が意地を見せるのか。パワー最上位の脇本は堂々のV候補。9月向日町以来、17度目の記念Vをもぎとるシーンも思い浮かぶ。3月のウィナーズC(取手)の落車後、低空飛行を続けた松浦は直前の岐阜GⅢを制し軌道修正。過去、何度も連係している町田太我の攻めを足場に急浮上を果たす。深谷も差はない。今年の全日本選抜(岐阜)を制しSS班返り咲きを決めている郡司浩平との連係は見もの。しぶとい内藤秀久もライン参加。南関勢が脅威だ。

 一発をもくろむ山口。ムラ駆けながらもつれる流れになるとシャープな捲りが飛び出す。ただ、ライン戦ともなると中部勢は劣勢の感が否めない。北日本も職人・成田和也、差し脚好調な渡部幸訓らがV争いに加わる。とくに成田の俊敏さばきは見もの。関東から坂井洋が名乗りをあげる。上位にもスピード負けすることはない。自分のタイミングでかまし、捲りに持ち込めると好勝負だ。

★新走路特徴

 〝滑走路〟と呼ばれた500走路は姿を消し、直線のみなし距離60・3㍍の400走路に生まれ変わった新走路は先行有利。トップクラスが集まるGⅢとなるとその傾向に変化が生じるだろうが、再スタートを切ったFⅠ、その後のFⅡを見る限り、逃げ切り、逃げ残りが多く見られた。地元選手によると「センター部分にクセがある。フワフワして伸びきれない」と指摘する。ペース先行が有効。捲りは3角までにハナに立つ早めの仕掛けか、遅めの捲り追い込みが決まっている印象だ。直線の伸びは内、中、外と平均的。


地元精鋭の中心 嘉永泰斗

スポニチロゴ