V候補筆頭は坂田康季だ。今年3月の名古屋から19場所連続で決勝に進出。今期は9月玉野の完全Vを含め3Vをマークしている。直前の9月松阪決勝は展開的な乱れもあって3着だったが、初日、2日目は捲りを決めて快勝し、調子落ちは感じられない。

 自転車競技に出会ったのは高校時代。国体にも出場し何度か入賞することができ、自転車で走ることがどんどん好きになっていった。そんなときに知り合いの競輪選手から誘われたことが、この世界を目指すきっかけとなったという。どんなに不利な状況からでも積極果敢に前に行って力を出し尽くす走りでめきめきと力をつけており、目標である〝九州を代表する先行選手〟へ着実に前進している。

 そんな坂田に迫るのが、前期S級の坂田康季。降級初戦の7月小倉でいきなり優勝。続く7月玉野は決勝3着、7月熊本から直前の9月函館まで5場所連続で準優勝と、決勝では勝ちきれない状況が続いているものの、走りは高いレベルで安定している。最近は追い込み中心とはいえ捲りの決まり手もあり、展開によってはタテ脚を発揮する。同じ九州の坂田や桜木雄太(23=福岡)らと連係できれば優勝の可能性は一気に高まる。

 坂田、佐方の強敵となるのが小林則之。直前の小田原決勝では先行する堀兼寿を3番手から鮮やかに捲って今期2度目のVを飾り、勢いに乗っている。今期はここまで7場所を戦って、1度も決勝を逃していない。経験豊富で巧みなテクニックと若い選手にも負けないパワーを兼ね備えた選手で好勝負が期待できる。

 松岡孔明、山口龍也、上吹越俊一(47=鹿児島)ら九州の実力者も優勝争いを盛り上げる。松岡は2場所前の地元・熊本で今期3度目の優勝を飾り、前期S級の実力を見せつけた。山口は病気からの復帰戦だった直前の9月久留米で準Vと流れは悪くなく、同じ〝西九州ライン〟の坂田との連係がV奪取へのポイントになろう。柿本大貴、内田英介の東京コンビや徹底先行型の堀航輝(29=青森)、金沢幸司(39=福島)、差し脚堅実な佐藤雅彦(42=宮城)、加藤圭一(46=神奈川)、峰重祐之介(34=岡山)も上位争いに加わってきそう。特別昇班して1、2班戦に初挑戦する125期・阿部英斗の走りにも注目だ。


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