武雄競輪の開設75周年記念GⅢ「大楠賞争奪戦」はSS班3人をはじめとする東西のトップレーサーを迎え、10日から13日まで4日間開催される。SS班の新山響平、真杉匠、岩本俊介が優勝戦線に絡むのは確実だが、KEIRINスポニチは山田庸平(37=佐賀)に注目した。兄の山田英明が無念の直前欠場。その思いも背負って地元記念初制覇に挑む。春本番の武雄バンクを爽快に駆け抜けてもらいたい。

 〝最速男〟が地元の牙城を守る!7年前の覇者である山田英明が前検日の2日前に無念の欠場。2年連続での山田ブラザーズの競演はお預けとなったが、急上昇中の山田庸平が地元記念初Vを目指し奮闘する。

 今年はここまでグレードレースのみに参戦。最初の3場所で1勝だったが、前回のウィナーズカップでは3勝を挙げた。

 「玉野記念が終わってセッティングや体の使い方、乗り方を見直したら、練習で、ここ1、2年は出ていなかったようないいタイムが出るようになった。伊東はクランクを初めて換えて臨んだ。決勝には乗れなかったけど、手応え的には悪くなかった」

 最終日は痛烈捲りで2着に6車身差をつける圧勝。上がり8秒9で伊東のバンクレコードを更新した。

 「レコードが出ているって感じではなかったけど、自分のいい捲りが出た時の感覚はありましたね」

 タイムを競う競技ではないが、開催中、いや、伊東でこれまで誰もが出せなかった8秒台を叩き出したインパクトは絶大だった。

 直後の平塚FⅠを欠場。状態が心配されたが「風邪を引いたので様子を見た。今はもう大丈夫。去年の経験があるから、ケアを覚えて少しは抑えられるようになった」と問題はなさそう。

 ウィナーズカップから地元記念までは「(福岡支部の)後藤大輝や梶原海斗、佐賀の若手らと合宿。久留米と武雄を行き来して、いい練習ができた。状態は普通くらいだと思う。悪い部分はないですよ」。絶好調宣言までは出なかったものの、レコード樹立の大きな反動、体調を崩した影響もなかった様子。悪い部分がなく臨めるのが何よりだろう。

 昨年3月の「大阪・関西万博協賛競輪」で当地GⅢを初制覇。地元GⅢに対し「そこまで特別感はない」と言いつつも「毎日練習しているバンクだし、地元ファンの方も応援してくれている。そういった意味ではいつもとは違う感じで走れる。メイン(周年記念)の方もいつかは優勝したいですね」と闘志を燃やす。

 順当なら昨年(嘉永泰斗―北津留翼―山田庸―山田英)に続いて初日特選で兄弟連係が実現するはずだった。

 「こういう時じゃないと(兄と)一緒に走れることがないので。初日特選で連係するのを楽しみにしていたので残念。兄の分まで頑張りたい」

 現在GⅢは3連続で準V中。走りたくても走れなかった兄の分まで、惜敗続きにピリオドを打って悲願の地元記念初Vへ突き進む。

 ◇山田 庸平(やまだ・ようへい)1987年(昭62)11月8日生まれの37歳。佐賀県武雄市出身で中学、高校時代は長崎県の五島市で過ごす。佐賀支部の94期生として08年7月に武雄でデビュー。通算成績は1303戦345勝。GⅢ4回を含む39V。武雄記念は21年の71周年、23年の73周年で決勝進出(21年は9着、23年は5着)。昨年3月「大阪・関西万博協賛競輪」で当地GⅢ初制覇。1㍍71、69㌔、血液型O。

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