別府競輪のミッドナイトFⅡ「チャリトロ杯が25日に開幕する。

 7車立て7R制でA級1、2班戦が行われる今節、中心となるのは小笠原光(29=岩手)。直前の西武園で完全Vを飾るなど、A級に降級した今期は早くも3Vをマークするなど好調だ。

 九州勢は佐々木翔一(38=佐賀)、地元の池部壮太(32=大分)、若手の桜木雄太(24=福岡)、ベテランの加倉正義(53=福岡)と多彩な顔ぶれ。それぞれV争い可能な実力があり、持ち味をうまく発揮してV戦線を盛り上げる。

 南関勢も高本和也(28=神奈川)、成清貴之(51=千葉)、柏木伸介(46=静岡)ら強力メンバーが揃った。若い機動力型の高本を先頭に成清ら経験豊富なベテランが集結すれば他線には大きな脅威となるはず。直前の高知でVの片山智晴(41=岡山)も力的にはV候補の一角だ。

 小笠原光が波に乗っている。S級から降級した今期はここまで5場所を戦って11勝と1着を量産し、2月の岐阜、3月小倉、そして直前の西武園で完全Vと3Vをマーク。3月平塚では決勝2着になっている。西武園2日目には11秒3の上がりタイムを記録し、脚の状態は良さそで、別府のバンクでも勢いは止まりそうにない。

 小笠原の最近の好調の裏には〝ハングルパワー〟があった。今年の冬季移動先の熊本で3月半ばごろに合宿中だった韓国の競輪選手と練習を共にした。韓国の競輪には基本的にラインがなく、また落車防止のため横の動きは厳しく制限されている。そのため選手は必然的に自力で戦わなければならず、タテ脚を磨くために練習に日々取り組んでいる。そんな韓国選手とトレーニングを一緒に消化したことが、小笠原にとっては精神面にも脚にもとてもいい刺激になっている。

 今場所は北勢の参戦が少なく、ライン的に不利な状況で戦わなければならないレースもありそう。それでも今の小笠原なら得意な捲りをフル活用して、今期4度目のVへ前進することができるはず。

 九州勢は多彩なメンバーが揃っただけに並びに注意。地元の池部壮太、佐々木翔一と、久留米の桜木雄太、加倉正義で別線勝負が考えられる。池部はここ4場所連続で決勝を逃すなど近況はいまひとつ波に乗り切れないが、走り慣れた別府バンクなら十分に力を発揮できるはず。佐々木は今期7場所すべてで優出を決めており、安定感は小笠原に引けを取らない。積極的な池部を目標にできる展開になれば、今年初Vが視界に入ってくる。近況は番手に回ることが多いものの、強力なタテ脚は健在。展開がもつれて混戦になったときは持ち前の機動力を発揮して対応していくことになるだろう。佐々木と同県のベテラン・池田浩士(46=佐賀)は直前の直前の大宮で決勝に進み、状態は上向いている。

 加倉は2月佐世保からコンスタントに決勝に進み、3月小倉決勝では半田誠の番手から鋭脚を発揮して準Vと、調子は上向き。2月玉野で完全Vを達成した桜木が勝ち上がって連係できれば、3月小倉以上の成績が見えてくる。今節は弟子の原井剣也(31=福岡)も参戦。原井は4月平塚で久しぶりの決勝進出を果たすなど気配は悪くない。近況は目標がいれば後位に回ることもあるが、加倉がいる以上は普段以上に積極的な走りを見せるに違いない。〝師弟コンビ〟の動向からも目が離せない。

 近況は厳しい戦いが続く入江航太(23=熊本)、松本一志(28=宮崎)ら若手の奮起にも期待したい。

 南関勢は機動力がある高本和也にマーク巧者の成清貴之、岡本英之(46=千葉)の千葉コンビにタテ脚兼備の柏木伸介と、こちらも強力メンバーが揃った。高本は4月高松で落車し直前の青森を負傷欠場したのは気がかりだが、万全ならV争いに絡めるだけのポテンシャルがある。成清は今年まだ優勝はなく、ここ2場所続けて決勝を逃しているとはいえ、通算382勝で優勝53回の実績は侮れない。高本という好目標がいる今回は久々の美酒を味わうチャンスといえる。柏木は追い込み中心に捲りもこなせるタイプ。展開がもつれたときの一気の抜け出しには要注意。

 関東勢では上川直紀(28=栃木)に注目。今期はここまで14勝と1着を量産しており、特に初日は9勝と強さが際立っている。直前の岐阜では初日特選を1着発進。2日目2着でクリアすると、決勝では小林申太の番手から直線鋭く伸びて2着と好戦した。自力基本でダッシュ力を生かした捲りは強力。さらに近況は番手で戦うことも増え、戦法の幅は広がっている。スピードがある樋口開土(28=東京)と連係するなど展開によってはV争いの〝台風の目〟になってもおかしくない選手だ。

 前期S級の片山智晴と柳谷崇(46=岡山)もV候補に加えたい。特に片山は2走前の高知決勝で、捲った篠原龍馬の3番手から一気に差し伸びて降級後初優勝を飾り、直前の大宮でも決勝に進出。今節の中国勢には強力な自力型がいない。片山としては追加の山崎航(30=山口)や四国の渋谷海(28=香川)と連係できれば理想的だが、目標不在の厳しいレースが多くなることも予想され、上位争いのためには位置取りが重要なポイントになるだろう。仮に単騎で戦うことになっても、先手ラインの後位をすんなりと確保することができれば、高知決勝で見せた鋭脚を存分に生かして上位を狙えるはずだ。

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