寛仁親王牌の激闘から中4日、四日市競輪場では31日から「GⅢ開設74周年記念・泗水杯争奪戦」が行われる。

 今回も豪華メンバーが集結。S班は古性優作を筆頭に5人が参戦する。寛仁親王牌で初タイトルを奪取した嘉永泰斗、グランプリ出場へ勝負駆けの深谷知広に熱い視線が注がれるか。

 ファンの注目はやはり地元の英雄・浅井康太。熟知するバンクで輝きを放ち、年末の大一番を目指して猛スパートをかける。

 浅井 勝負はここからだ

 2場所前の松阪記念は最低ノルマの決勝進出を果たすも中部単騎となった。最終ホームで9番手に置かれる苦しい流れ。見せ場を作れずの7着に敗れた。続くGⅠ寛仁親王牌の一次予選は目標の山田諒が不発。最終2コーナーで切り替えて追い込んだが、2センターでの接触で落車となった。それでも途中欠場せずに、最後まで走り抜いたのには訳がある。 「地元(四日市)記念、競輪祭と続くので、気持ちが切れたらあかんと思って、無理やり走りました」

 結果は3、5、2着だった。ただ、最終日は本領の自力戦で魅了。青板3コーナーで一度は突っ張られた菅田壱道に対して、最終1コーナー捲りで再度アタック。激しい踏み合いの中で守沢太志に最内を行かれ、大外を園田匠に伸びられての3着ゴールとなったが、守沢は最終ホームの押圧で失格となり、2着に繰り上がった。白星を挙げることはできなかったが、見応えのある踏み合いを展開。最悪の流れを打ち切るだけのレース内容ではあった。

 昔から競輪選手・浅井康太の行動には何事にも理由がある。全ての先にあるのがグランプリ。寛仁親王牌が終わった段階で賞金ランキングは13位まで下降した。もはや賞金枠での出場は不可能な位置だが、これは10位で入った松阪記念の前から分かっていたことだ。

 グランプリ2冠の浅井の体には〝1年間をどんなペースで、どう進めて行けばグランプリにたどり着けるのか〟の感覚が染みついている。毎年の一つの区切りがオールスター。ここが終わった段階で賞金枠での出場が可能か、不可能なのかを判断。不可能と判断すれば、GⅠ優勝枠にスパッと切り替えている。

 68周年大会から11月の開催に定着している四日市記念。ここで好結果を出せば競輪祭への勢いになるし、逆に悪かった場合は修正点を見つける最後のキッカケとなる。これが「四日市記念→競輪祭」の流れを大事にしている理由であり、今年もまだグランプリ出場を諦めていない証でもある。各地区の猛者たちが集結する4日間。満身創痍(そうい)の体ではあるが、地元のエースとして最後まで全力を尽くす覚悟だ。

先行予想 嘉永GI覇者の風格

 一気に頂点へと駆け上がった。嘉永が寛仁親王牌でGⅠ初優出初優勝。一発回答でタイトルホルダーの仲間入りを果たした。機敏な組み立てと鋭いタテ脚を駆使して、これからの九州勢を背負って立つスターだ。

 賞金ランク1位の古性は寛仁親王牌での優出とウィナーズC優勝を含め、今年のビッグ成績は8戦中で7度の優出を誇る。総合力は輪界トップクラス。近畿の中核として、極上の勝負強さを発揮して台頭する。

 犬伏も同様に前回GⅠで優出。決勝は先頭に立つことなく、不完全燃焼で終わった。大舞台でのもろさを露呈したが、仕掛けた時の爆発力は他を圧倒する。修正して存在感を示したい。

 関東エース格にまで頭角を表している真杉もV候補の一角。クレバーな組み立ては必見で、さばきを駆使して、勝負圏のある位置を確保するか。いざとなれば長い距離も踏める男。レーサーとして隙も少なく、俊敏な攻めで制圧する。

 寺崎はオールスターでGⅠ初戴冠。ナショナル仕込みのスピードは天下一品で、豪快に仕掛けて、力で別線をねじ伏せる。

 呼吸が合う南関勢も注目の的。深谷は賞金ランク9位で、グランプリ出場へのボーダー上にいる。10位の松本貴治とは27日現在で約500万円の差はあるが、少しでも賞金を上乗せして年末の大一番を視野に入れたい。抜群のスピードを発揮して、勝機をつかむ。

 S班の岩本は今年、番手回りが増えている。深谷や、同じS班である郡司浩平のダッシュにもそつなく対応。ゴール前での差し脚も光る。もちろんタテ脚も健在だ。鋭い捲りで別線を蹴散らすシーンも十分ある。

 地元絶対エースの浅井は寛仁親王牌の初日に落車したが、その後も気迫を前面に2度の車券絡みを果たした。GP出場へ譲れない地元大一番となる。山口が前回GⅠがオール単騎戦で3勝の活躍。改めて地力を示した。GⅠ覇者の実力を発揮して勝機をつかみたい。

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