スポーツニッポン杯と同時にHPCJC杯も懸かる今シリーズには自転車競技短距離ナショナルチームメンバーから中野慎詞、新山響平、松井宏佑の3人が出場する。HPCJCとは〝日本の自転車競技を世界一にする〟ことをテーマに創設された自転車トラック競技強化指定選手トレーニングセンター(伊豆)の英語表記の略称。3人はパリ五輪での活躍を目指し、そこで日々、厳しいトレーニングを積んでいる。

 中でも注目は1月デビューから30連勝を決めた中野だ。チャレンジ戦3場所、A級1、2班戦3場所に続き、S級に上がっても初戦からFⅠで3場所連続完全V。4場所目のGⅢ、青森記念では決勝で敗れたがS班選手と初めて戦った3日目の準決まで力強い走りで1着を続け、スケールの違いを印象づけた。初めてビッグレースに挑んだ名古屋共同通信社杯は一予を2着で突破。しかし、二予で7着となり上位進出はならず。3日目、最終日も5着、6着でいったん、勢いはストップする形に。だが、なじみのなかった9車立てでトップ選手と戦ったことが競輪での経験の浅い中野にとって大きなプラスとなったことは間違いない。デビューして9カ月足らず。上昇トレンドは始まったばかり。一呼吸入る形から、さらに上をうかがう。競技でも競輪でも、世界と日本で頂点へ。その可能性を中野は強く感じさせる。

 今シリーズは北日本同士で青森、岩手同支部の新山と決勝でのワンツーを決めることに集中。青森記念では前で先手を取れず不発となって共倒れに終わっただけに、その思いは強いはず。押し切ってのVならパーフェクト。だが結果がどうあれ、しっかりと仕掛けて力を出し切る。

 新山は中野の番手回りで絶好の展開となるか。別線の動向も踏まえ、まずは連結を外さないことが第一。最後は新山が差すか、中野が粘るかの勝負。すんなり続けばチャンスは逃さない。タテ脚切れる渡部幸訓が加わり結束となれば、北日本はラインの厚みという点でも断然有利となる。

 強烈捲りで襲いかかるのは三谷竜生だ。前走小松島FⅠで完全Vを決めて上昇ムード。中野にすんなり駆けられてしまうと厄介だが、ナショナルチーム同士での対決に燃えそうな松井が中野と踏み合う流れになると一気に浮上。外を鋭くのみ込むシーンが考えられる。南修二が近畿同士で三谷とタッグ。後ろで食らいつき直線勝負へ。ゴール前で切れ味を発揮する。

 南関ラインも力の確かな2人が連係。スピードある松井に差し脚好調な和田健太郎が続く。特に和田が直近2場所のFⅠで連続Vと充実。理想は前を任せる松井が先制して中野を苦しめる展開。番手から抜け出して3場所連続Vなるか。