久留米競輪場で開催されるGⅢ「熊本競輪開設72周年記念・火の国杯争奪戦in久留米」が10月1日から4日までの日程で争われる。S級S班は守沢太志(37=秋田)、郡司浩平(32=神奈川)、松浦悠士(31=広島)の3人が参戦。九州勢はグランプリ初出場を目指す荒井崇博(44=佐賀)や、6月の久留米記念を制した北津留翼(37=福岡)に、地元勢は大会連覇を狙う嘉永泰斗(24=熊本)ら10人が出場する。最終日の6Rでは、121期7人が戦うルーキー企画レースが行われる。ここでは昨年準Vだった地元の瓜生崇智(27=熊本)に、今回に懸ける意気込み、そして後輩について語ってもらった。
瓜生崇智に聞く
緊急事態で昨年準V男が奮起する。地元勢はエースの中川誠一郎が無念の負傷欠場。そして昨年の覇者・嘉永泰斗は共同通信社杯の二次予選の落車で鎖骨を骨折。なんとか出場にこぎつけたが、本調子とはいえないだろう。そこで、昨年大会で準優勝した瓜生崇智に期待する。今年5月の函館記念でGⅢ初優勝。熊本支部の若手のリーダーが地元記念に対する熱い思い、そして後輩について語ってくれた。
――昨年の準優勝から1年。あらためて昨年の地元記念を振り返ってください。
「決勝には乗りたいと思っていたけど、(嘉永)泰斗とまさか決勝でワンツーできるとは思ってなかった。泰斗とワンツーで始まって(初日1R)、泰斗とワンツーで終われた。一生、忘れることがない開催になりました」
――決勝後の声援も凄かったのを覚えています。
「本当に凄かったです。夢のようでした」
――今年の5月には函館記念でGⅢ初制覇。地元記念では昨年以上の結果も期待されるのでは。
「函館で優勝した後に体調を崩したり、ぎっくり腰になってしまって…。そこから良くないんですよね。練習の感触的には悪くないけど。強い後輩も増えてきたし、脚力的には厳しいんじゃないかと思うところもありますね」
――以前は首のヘルニアに苦しんだ時期もありました。
「かなりケアしながらトレーニングしてます。腰の方もだいぶ良くなっているけど、体力のなさを痛感していますね。ピーク時に比べると、脚力は落ちていると思う。FⅠ戦ではごまかしが利くけど、GⅠやGⅡでは通用していないので…」
――そんな中で迎える地元記念です。
「呼んでいただいたので気合は入りまくってます。でもレースではあまり気負わずに臨みたい。今年もまずは決勝には乗りたいですね」
――ここからは今開催出場する後輩6選手について話してもらいます。まずは上田尭弥から。
「ガルベス(上田の愛称)はバカなフリをしているけど、いろいろと真剣に考えてますね。芯を持って考えてます」
――ちょっと意外でした。続いては嘉永泰斗です。
「タイトは中学から知っているけど、ここまで成長するとは思わなかった。本当に頼もしいですね。とにかくストイックで努力家です。あぁいう奴がGⅠを獲るんじゃないかって思わせられます」
――あのルックスなら努力なんか必要なさそうですが…。素晴らしいですね。宮崎大空はどうですか。
「ツバサはザ・パリピですね。あ、ちなみにツバサは僕にとって最重要人物かもしれないです。彼と一緒の開催は必ず優勝してるんです。S級初優勝だった武雄FⅠと函館記念で一緒でした。今回が3回目。福をもたらしてくれる七福神的存在ですね」
――それは今回も楽しみですね。次は松岡辰泰です。
「タツはミスター太鼓持ちですね。笑顔の外交。笑ってたら許されると思ってるタイプですね」
――なんとなく分かる気がします。松本秀之介はどうでしょうか。
「ヒデノスケは弟みたいな奴です。カワイくて手をさしのべたくなるような。実は頭もキレますよ」
――最後は兼本将太です。
「カネモンは中学と高校の同級生の弟なんです。だからいまだに友達の弟って感じですね。彼も努力家。多くは語らずに黙々とやるタイプですね」
躍進著しい熊本支部のヤング勢を束ねる瓜生ならではの視点で若手を紹介してもらった。地元ファンを大いに沸かせた昨年同様に、地元のヤング陣に大暴れしてもらおう。
【総展望】
守沢太志
北日本から地区別に有力メンバーを紹介しよう。3年連続のグランプリ出場を目指すS級S班の守沢太志は17年6月以来の久留米参戦。16年6月の久留米記念でGⅢ初Vを飾った思い出のバンクで賞金加算を狙う。小松崎大地は6月の久留米記念に続く当地GⅢ出場。久留米記念はまさかの二次予選敗退を喫したが、今回こそはパワフルな走りを見せてくれるはずだ。差し脚鋭い永沢剛、佐々木雄一や、坂本周輝と石井洋輝の機動力も見逃せない。
関東勢はFⅠ戦で好走を続ける末木浩二や、久留米記念V歴がある池田勇人、さらには阿部大樹、柿沢大貴が上位進出を狙う。
郡司浩平
南関勢はS級S班の郡司浩平と、輪界屈指の機動力を誇る深谷知広が引っ張る。郡司は先日のGⅡ共同通信社杯で完全優勝。4年連続のグランプリ出場へ大きく前進した。熊本記念は2年前の覇者で、6月の久留米記念では準V。好相性の地で再び輝きを放つ。深谷は決勝6着だった17年の熊本記念以来となる当地参戦。今年は8月の小田原記念を含む4Vで賞金ランクは11位。寛仁親王牌の出場権がないだけに、ここで1円でも多く稼いでおきたいところだ。直前の地元FⅠでVを飾った東龍之介が郡司と深谷を援護する。
中部勢は竹内雄作、山口泰生、松岡篤哉の岐阜勢が軸に。8月の富山記念で優出して復調をアピールした竹内の先行力は脅威だ。
近畿勢は村上博幸がV候補の一角。ケガに苦しんだが、近況はFⅠ戦で優出ラッシュ。そろそろG戦線でも存在感を示したいところだ。石塚輪太郎と中西大の和歌山コンビもパワフルな機動力で魅了する。久留米が生まれ故郷の中西は追加で参戦。4年ぶりの久留米GⅢで気合満点の走りを見せてくれるだろう。8月の岸和田GⅢで準決勝まで勝ち進んだ中釜章成も軽視は禁物だ。
松浦悠士
S級S班の松浦悠士がけん引する中国勢。今年も抜群の安定感を見せている松浦は富山記念と岐阜記念を制してGⅢ2連続V中。当地のGⅢは4節走って全て優出しており、今回も格上の走りで別線を圧倒する。しぶとい柏野智典と池田良がきっちりと援護する。取鳥雄吾のスピードや、6月の久留米記念に続く当地GⅢ参戦の山根将太にも注目したい。
四国勢は阿竹智史、久米良、小川真太郎の徳島S1トリオに期待が懸かる。
九州勢は昨年大会で嘉永のVに貢献し、6月の久留米記念を制した北津留翼に、充実一途の荒井崇博が参戦。初のグランプリ出場が見えている荒井は先日のGⅡ共同通信社杯3日目に通算500勝を達成。地元地区のGⅢで少しでも賞金を積み重ねたいところだ。地元勢は中川誠一郎の欠場はあったが、昨年覇者の嘉永泰斗ら10名がエントリー。嘉永は共同通信社杯の落車で出場が危ぶまれたが、根性で出場にこぎつけた。地元記念初制覇を狙う中本匠栄や実績ある松岡貴久、昨年準Vの瓜生崇智、さらには成長著しい上田尭弥に松岡辰泰、松本秀之介ら楽しみなメンバーがそろった。今年も地元から優勝者が出るのか楽しみでならない。6月の久留米記念で決勝進出した伊藤颯馬と阿部将大が地元勢を盛り立てる。
【熊本記念in久留米最終日6R・ルーキー企画レース出場メンバー】(車番未定)
安彦 統賀(埼玉・A2)
山口 多聞(埼玉・A2)
東矢 圭吾(熊本・A2)
真鍋 顕汰(三重・A3)
室井蓮太朗(徳島・A3)
一丸 尚伍(大分・A3)
松本秀之慎(熊本・A3)