松本秀之慎(22=熊本)を主役に推す。7月熊本、8月の福井の連続Vはどちらも同県の後輩の番手から差し脚を発揮しての優勝だったが、福井の初日、準決では逃げ切って1着。400バンクで逃げたときは11秒台前後の上がりタイムを連発しており、スピードに陰りは見られない。すんなり先手を取ってペースで駆ければ押し切り濃厚とみる。同県の先輩で経験豊富な松岡孝高(38=熊本)の存在は松本にとって心強い限りだろう。

 松本は高校時代、全日本選手権ジュニアケイリン優勝や全日本選手権ジュニア1㎞TT優勝などの実績を残した。卒業後は大学の自転車競技で活躍することが期待され、本人も一時は進学を考えたが、2歳上の兄・秀之介の影響で競輪選手へ。兄と共にGⅠで戦うことが夢であり目標。今や熊本を代表する自力選手としてS級1班で活躍する秀之介にできるだけ早く追いつくためにも、ここはしっかりとした結果を残したい。

 福岡勢はベテランの巧者・那須久幸(52=福岡)が中心。今期はここまで6場所を戦い、決勝を逃したのは途中欠場した7月岐阜だけと高いレベルで安定している。直前の8月玉野決勝はゴール前混戦も巧みに外に持ち出して僅差の2着。得意な地元バンクならさらに上が狙える。積極果敢な浅見隼を先頭に那須―中園和剛(42=福岡)と並ぶ福岡ラインはかなり強力だ。

 松本らの強敵となるのは今節のシリーズリーダーでもある飯田憲司(41=静岡)だろう。今期初戦の7月小田原決勝は捲った同県・格清洋介の番手から鋭く伸びて優勝。そこから4場所連続で決勝に進むなど、安定感は抜群。自分からレースをつくるタイプではなくどうしても展開に左右されてしまう面があることは否めないが、ここぞというときに発揮する差し脚の切れ味は鋭い。吉竹尚城(31=静岡)が勝ち上がって連係できればVのチャンスはさらにふくらむ。

 三浦翔大(34=宮城)と佐々木省司(46=青森)ら北勢も侮れない存在。特に三浦は、6月青森決勝で照井力斗(22=岩手)と好連係して完全Vを達成。その後もコンスタントに決勝に進んでいる。今節も照井と連係できればいいが、照井のようなしっかりとした目標がないときでも、捲り兼備の強力なタテ脚を発揮して青森以来の優勝を目指していく。佐々木も3場所連続で決勝進出と波に乗っている。

 遠征勢ではほかに佐藤悦夫(44=栃木)と、小川将二郎(22=徳島)もV候補の一角。佐藤は6月に奈良、7月高知で連続優勝しており、目標次第では手強い存在になる。今節は四国勢が少ないため、小川は中国勢の連係も視野に戦っていくことになりそうだ。松本、照井、小川に加え中原航大(25=岡山)、峯口司(21=長崎)ら若い選手の走りにも注目したい


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