福井競輪のS級シリーズ「スポーツニッポン杯・フェニックスカップ(FⅠ)」は8日に幕を開ける。各地区の実力がきっ抗しV争いは激戦。幅広い攻めを誇る木暮安由が中心だが、本来なら竹内雄作の突進力が屈指だし、強力近畿勢も接戦。白熱の攻防から目が離せない。なお、注目選手として地元のS級初戦を迎える111期の小森貴大と、初のS級1班へ昇級した鷲田佳史の地元両者をピックアップする。
 

小森 地元戦に気合 大暴れだ


 111期の在校順位は36位と中堅クラス。華々しい活躍をする同期の南潤らには大きく後れを取ったが、昨年7月にA級2班へ定期昇級。その初戦で落車したが、負傷明けの昨秋あたりからぐんぐんと力を付けて、今年3月にS級へ特別昇級を果たした。
 
 特進初戦となった名古屋FⅠ戦は1②❸着と好スタート。予選は打鐘先行で他を寄せ付けぬ堂々の逃げ切り勝ち。準決は先行態勢のところを北津留翼―山口貴弘でカマされたが、3番手で切り抜けるやバックから力任せにまくり切る。小埜正義の強襲を浴びたが、2着でいきなり決勝へ進出。
 
 「出られてしまったが、(車間が)詰まった勢いで巻き返せた」とS級初戦でも落ち着いたレースぶり。 決勝は強力な中部作戦を封じ主導権を握ってレースを支配。番手戦の中井俊亮の優勝に貢献する走りを披露した。自身も3着に粘り込む大健闘だった。3日間、自分の競走をして確定板を外さない見事な内容でファンにアピールした。
 
 昨年に引退した師匠の市田佳寿浩氏の薫陶を受けて、デビュー当時からは大きく成長した。地元で迎えるS級2戦目の今回は真価が問われる一戦になる。
 
 強じんな先行力を発揮してV戦線に風雲を呼ぶ可能性も十分。地元ファンの声援を背にダイナミックな走りで魅了したい。
 

安定感増した鷲田が決める


 デビューして16年目で初のS級1班へ昇級を果たした鷲田。地元の今シリーズにかける思いは強い。
 
今年に入って目立ったヒットはないが、3月の大垣ウィナーズカップは3日目から補充参戦し1勝を挙げた。コースが空いてやや恵まれた感もあったが、一気に抜け出した動きは順調。
 
 本格的なマーク、追い込み屋として上位ではまだ課題も残るが、同格クラスなら安定感は十分。車間を切って先行選手をぎりぎりまでガードするなどマーク屋の仕事はきっちりする。
 
 当地は18年6月(❺⑤落)以来、久々の出走となる。S級1班として迎える地元戦はおのずと気合が入るはずだ。近畿の自力型を援護してきっちり抜け出したい。
 

木暮縦横攻め、竹内の体調が鍵

 激戦のシリーズだが、流れに応じて戦えるのが木暮の強みだ。3月四日市で堂々完全V、直前の玉野は決勝2着とFⅠ戦なら実力を誇示。動いて中団確保からまくるパターンに持ち込めばVの最短。呼応する神山の決め脚も威力があり、関東勢で上位独占の場面も。
 
 〝ノンストップ〟の先行。かかり切った時の竹内のパワーは見事なものがあるが、直前は欠場続き。体調面に不安を抱えての参戦となるが、当然主役に推される実力の持ち主だ。支障なければ北野ら中部マーク陣を連れて逃走劇を演じても不思議ではない。
 
 近畿勢も粒がそろった。。軸になるのはパンチ力鋭い松岡だ。まくり、カマシが本領だが、若手の自力型と同乗なら番手戦で台頭を狙う。2班だが、特進を果たした小森の勢いが魅力いっぱい。近畿の先導役に止まらずV戦線に波乱を呼ぶ公算も。初のS1班へ昇級した鷲田の好走や、上位でも臆せず強気の自力勝負に出る窓場千加頼も要注意。
 
 Gクラスで戦える追い込み脚を持つ園田、ヨコの厳しさ屈指の大塚も実績は主戦格。特に園田の決め脚は展開を問わず怖い。また、まくり一発に威力を秘める坂本健太郎も上位相手でも好勝負を演じるか。
 
 破壊力十分のまくり、カマシに差しも可能と飯野は戦法に幅を増している。穴党として魅力のある存在。まくりを備えた決め脚が力強い五十嵐や、呼応する萩原の差しも侮れない。
 
 また、まくり、先行に威力を持つ小原唯志、マーク戦に安定感を増す武藤龍生も上位進出は可能だし、自力型でヨコもこなす渡辺豪大の好戦も要注意。