競輪と競輪場

【競輪とは】

1948年11月20日に福岡県北九州市小倉で誕生した日本発祥のスポーツ。
バンクと言われる傾斜が付いた走路を自転車で走り、1着を競う競技。1レースに参加するのは7〜9人(※例外で7人以下で走る場合もあり)で、基本的に男子は1525m〜2025m、女子は1525m〜1625m(※ビッグレースでは例外あり)を走る。

【グレードレース】

レースの格を表すもので、競輪の場合は上位からGP、GI、GII、GIII、FI、FIIの6つに分けられている。

【GP】

年末の12月30日に行われる競輪界最高峰の一戦。その年のGIを制した選手および獲得賞金上位の計9人による一発勝負のレース。優勝賞金は公営競技の中で最も高い1億3700万円。

【GI】

年6回開催され、各GIの優勝者は年末に行われるグランプリの出場権を得る。競輪は通常の開催は3日間で行われるが、GIは6日間で行われるものもある。

・全日本選抜競輪(2 月、4 日間)
・日本選手権競輪(4~5 月、6 日間)
・高松宮記念杯競輪(6 月、6 日間)
・オールスター競輪(8 月、6 日間ナイター)
・寬仁親王牌(10 月、4 日間)
・競輪祭(11 月、6 日間ナイター)
2023 年にガールズケイリンGI「パールカップ」「オールガールズクラシック」「競輪祭
女子王座戦」を新設。2025 年には「女子オールスター競輪」も新設予定。

【GII】

GIに次ぐグレードのレース。年4回開催され、年末のヤンググランプリもこの格付け。
・ウィナーズカップ(3 月、4 日間)
・サマーナイトフェスティバル(7 月、3 日間)
・共同通信社杯(9 月、4 日間)
・ヤンググランプリ(12 月28 日)

【GIII】

主に各競輪場の開設記念として開催されることが多く、各競輪場にとっては年に一度のお祭り的開催。GIを走るようなエリート選手も多く出走する。
開設記念とは別に「大阪・関西万博協賛競輪」「施設整備等協賛競輪」も開催される。
2024 年度には佐世保と小松島でミッドナイトGIII も開催。

【FI】

S級選手と、A級1.2班の選手が出走。S級選手とA級選手が一緒に同じレースを走ることはない。

【FII】

A級選手のみが出走し、最も多く開催されている。A級1.2班の混合クラスとA級3班のクラスに分かれてレースが行われる。

【選手になるには】

実技試験、筆記試験に合格すると静岡県伊豆市にある「日本競輪選手養成所」に入所できる。さらに、そこで1年間の厳しい訓練に耐え、最終試験をクリアした選手候補生だけがプロの競輪選手としてデビュー(3月に卒業して7月にデビュー戦を迎える)。

【競輪場】

全国42カ所にあり、基本的には1周400mのものが多いが、500m、335m、333mも存在する。
<北日本>3場
函館(400m)、青森(400m)、いわき平(400m)
<関東>8場
弥彦(400m)、前橋(335m)、宇都宮(500m)、取手(400m)、大宮(500m)、西武園(400m)、立川(400m)、京王閣(400m)
<南関東>6場
松戸(333m)、川崎(400m)、平塚(400m)、小田原(333m)、伊東温泉(333m)、静岡(400m)※ 千葉はPIST6 のみ実施のため削除
<中部>7場
豊橋(400m)、名古屋(400m)、岐阜(400m)、大垣(400m)、四日市(400m)、松阪(400m)、富山(333m)
<近畿>5場
福井(400m)、京都向日町(400m)、奈良(333m)、和歌山(400m)、岸和田(400m)
<中国>3場
玉野(400m)、広島(400m)、防府(333m)
<四国>4場
高松(400m)、小松島(400m)、松山(400m)、高知(500m)
<九州>6場
小倉(400m)、久留米(400m)、武雄(400m)、佐世保(400m)、別府(400m)、熊本(500m)※熊本は500m バンクだったが、2016 年の震災の被害で建て替えられ2024 年7 月に400m バンクとして復活

勝者投票券(車券)と種類

【勝者投票券(車券)とは】

競走対象の着順を予想して投票(購入)し、結果に即して配当を得るための券。競輪の場合は「車券」と呼ばれる。
車券の種類は3連単、3連複、2車単、2車複、2枠単、2枠複、ワイドの7種類があり、それぞれ1口100円から購入できる。
また、複数レースの1着(および2着)を当てる重賞式も発売している。

【3連単】

1.2.3着を着順どおりに予想し、的中させる車券。9車立(1レースに9人が参加)のレースだと組み合わせが504通りとなるため、1/504と当たる確率は低いが、当たった際は高配当となりやすく、1番多く購入されている車券。7 車立の確率は1/210。
※過去最高配当額は4,760,700円(2006年9月21日、奈良競輪場。組合せ⑧-④-⑤498番人気)

【3連複】

着順にかかわらず1〜3着を予想し、的中させる車券。9車立の確率は1/84。7 車立の確率は1/35。

【2車単】

1.2着を着順どおりに予想し、的中させる車券。9車立の確率は1/72。7 車立の確率は1/42。3連単の次に多く購入されている車券。

【2車複】

着順にかかわらず1.2着を予想し、的中させる車券。9車立の確率は1/36。7 車立の確率は1/21。

【2枠単】

枠番で1.2着を着順どおりに予想し、的中させる車券。9車立の確率は1/33。7 車立は発売なし。

【2枠複】

枠番で着順にかかわらず1.2着を予想し、的中させる車券。9車立の確率は1/18。7 車立は発売なし。

【ワイド】

車番で1〜3着内の2車を予想し、的中させる車券。自分が予想した選手2人が順不同でともに3着までに入ればいいため、予想しやすく初心者にオススメ。9車立の確率は3/36。7 車立の確率は1/21。

【重賞式】

後半5つのレースの1着を予想する車券「チャリロト5」。当選者がなかった場合はキャリーオーバーとなり、最大6億円の払い戻しチャンスもある。
後半3つのレースの1着を予想する車券「チャリロト3」。当選者がなかった場合は、投票した人全員に投票額の70%が返還される。
そのほか、コンピューターが自動的に選択する「Dokanto!7」「Dokanto!4two」などがある。

出走表の見方とポイント

【出走表】

レースを走る選手のデータが詳細に記載してある表。枠番、車番、選手名、年齢、登録地、登録期、記者の予想、競走得点、級班、脚質、決まり手(逃げ、捲り、追い込み、マーク)、B回数、直近4 カ月の1.2.3 着および着外数、勝率、連対率、3 連対率、1月以降の獲得賞金、今場所成績、前場所成績、ギア倍数などが記載されており、選手の強さや近況の成績などを基に各々が予想ツールとして使用する。

【車番】

選手はそれぞれ1〜9の番号で振り分けられており、車券を購入するファンはその番号に投票する(7 車立の場合は1~7 番)。

【選手の色分け】

1〜9の番号にそれぞれ色が決められており、選手はその色のユニホームを着て競走する。
1番車=白、2番車=黒、3番車=赤、4番車=青、5番車=黄、6番車=緑、7番車=橙、8番車=桃、9番車=紫

【枠番】

1〜9までの車番とは別に6つの枠で分けられており、1番車=1枠、2番車=2枠、3番車=3枠、4.5番車=4枠、6.7番車=5枠、8.9番車=6枠。

【登録地】

基本的には出身地=登録地となるが、出身地に競輪場がない選手は競輪場がある近隣の都道府県で選手登録を行う。

【登録期】

日本競輪選手養成所を卒業し、選手として登録された期を示す。登録後は全国各地に散らばるため会う機会は少なくなるが、同期の絆は強い。2012 年以降は男子が奇数、ガールズが偶数。

【記者の予想】

スポニチ専属の記者が、競走前日に発表された出走表を分析して選手の優劣を判断。最も1着を取る可能性が高い選手から◎⇒○⇒▲⇒☆⇒△の順で印を付ける。

【競走得点】

レースごとに得点が決められており、着順によって選手が獲得する得点が決まる。S級戦は得点が高く設定されており、GⅢ以上のグレードレースはさらに高い。
出走表には直近4カ月で選手が獲得した平均の数字が記載されており、競走得点が高い選手はより能力が高く調子もいいと判断できる。ただ、級班の入れ替えがある1月と7月は、前の期の級班で獲得した競走得点となるので、注意が必要。

【級班】

男子選手はA級3班としてデビューし、成績に応じて昇班および降班。A級3班、A級2班、A級1班、S級2班、S級1班、S級S班の6階級がある。女子はL級1班のみ。
中でもS級S班は、約2,000人いる競輪選手の中でたった9人しかなることができない、まさに超がつくエリート。昇班、降班は1月〜6月、7月〜12月のそれぞれ半年間の成績によって自動的に振り分けられる。A級3班であまりにも成績が悪いと引退させられる。

【脚質】

「逃」「捲」「追」「マ」の4種類に分かれており、直近4カ月で1着・2着に入った際の決まり手が回数で表示されている。その選手がどういう戦法を得意としているかを判別できるうえに、回数が多いほどその選手が2着までに入る確率が高いことも分かる。

【決まり手】

「逃」、「両」、「追」の3種類に分かれており、自ら風を切って攻めていく先行・まくりタイプの自力選手は「逃」、道中は人の後ろを走って最後の直線勝負に賭ける選手は「追」、その両方ができるフレキシブルな選手は「両」と表記される。

【逃げ(逃)】

ラインの先頭で走り、残り1周〜1周半を全力で走り切ることを得意とする選手。先行選手、地脚タイプとも言う。残り1周で先頭に立って、スピードの強弱を付けたり、波を作ったりして他のラインを捲らせないように走り逃げ切りを狙う。

【まくり(捲)】

逃げと同じラインの先頭を走る選手だが、逃げよりも短い距離(約半周から3/4周)をスピードよく全力で走るのを得意とする選手。踏み出した際の加速が良く、ダッシュタイプとも言う。逃げている選手をタイミングよく仕掛けて1着を狙うが、残り1周の時点で後方に置かれてしまうと、まくり切ることができないケースもしばしば。

【追い込み(追)】

逃げ、まくりの自力選手に前を任せて、4コーナーからの直線勝負に賭けている選手。任せた選手が先行した場合は、後方からまくってきた別のラインをブロックして、2人で1.2着が取れるようにきっちり仕事をしてから抜きにいくのがセオリー。前を任せた選手がまくりになった場合は、なかなか最後の直線で抜くのは難しい。また、先行するラインにブロックされて前を任せた選手が後退した場合は、切り替えて自ら切り込んでいく。

【マーク(マ)】

前を任せた自力選手、または追い込み選手が1着で、その後ろにいて抜けずに2着となった場合にマークの決まり手が付く。2着になっても前を抜けていないということがバレバレなので、選手としてはあまり付けたくない決まり手。

【B回数(B)】

バック回数と呼ばれ、主に自力選手に付く。直近4カ月の競走でその選手が残り半周の時点で先頭にいた回数を示し、まくり選手よりも先行選手のほうがB回数が多い。また、逆に言えばB回数が多い選手は残り半周の時点で先頭にいる確率が高いので、その選手に任せる選手は展開的に有利になるとも言える。

【ギア倍数】

自転車のペダルがついているギアの歯車の数÷後輪ギアの歯車の数。ペダルが1回転するとタイヤが4回転するものがギア倍数=4.00。
ギア倍数は小さいほど漕ぐ力は軽くなり、短時間でトップスピードに到達するが、トップスピードを持続させるためにペダルを多く回転させる必要がある。ギア倍数が大きいと漕ぐ力が重くなり、トップスピードになるまでの時間がかかるが、少ない回転でトップスピードを持続できる。