1年半ぶりに復帰した中村敏之輔
23年12月の岸和田以来、約1年半ぶりに実戦復帰した中村敏之輔(39=北海道)。「ヘルニアが原因で右膝から右大腿にかけて全く力が入らずに歩けない状態」からの治療が続いた。日常生活に支障がなくなると担当医からは「一般人なら完治」となり、中村は今度は競輪選手として復帰を目指し、今年1月に〝立ちこぎ〟から開始。3月にタイム検定に合格すると「7月からチャレンジなので6月に走りたい」と練習を積んで9~11日の宇都宮で復帰した。
8日の宇都宮前検日、久しぶりに取材した中村は白髪頭になっていた。「元々、白髪は多かったんですがストレスで真っ白になってしまいました」。歩けなくて脚が細くなったこと、家族のこと…約1年半の話をしてくれた。復帰戦はまだレースにならず⑦⑦⑦着だったが「歩けなかったことを考えると…。これからどうなるか分からないが、まず次のレースに向けて」と一歩進んだことは確かだ。順調な回復を応援したい。
「神山雄一郎氏のGⅠ優勝16回を振り返る」(以下、敬省略)の8回目は00年。7月の寛仁親王牌は太田真一(埼玉)目標のレースだったが太田が落車。神山はすかさず自力に転じた。山田裕仁(岐阜=引退)に捲られたが「山田君は失格かも…と思い、諦めずに踏んで」2着入線から優勝に繰り上がった。11月の小倉競輪祭は太田と別線勝負に出た神山は捲りで優勝。神山のGⅠ優勝は前人未到の14回を重ねた。ちなみに00年はシドニー五輪にも出場。神山は競輪、そして自転車競技との両立で注目を集めた一年だった。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の62歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビュー戦から見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り。