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【記者コラム】十文字-神山 1996年〝アトランタライン〟誕生

 6日の立川競輪初日。6Rと7Rは2車単の払い戻しが100円の決着。現在は3連単時代だから3着探しでいいけど、枠単、車単育ちの世代としては〝3連単がなかった時代なら、どんな賭け方をしたかな…〟と。3連単発売が始まったのはグランプリを例に挙げれば01年の平塚GP(優勝=伏見俊昭)だった。

 「神山雄一郎氏のGⅠ優勝16回を振り返る」(以下、敬称略)の5回目は96年。この年は競輪と自転車競技を両立させていた神山がアトランタ五輪に出場。当時の得意種目は1㌔タイムトライアル(1㌔TT)だったが、5月の全日本プロ選手権1㌔TTで優勝した十文字貴信(茨城=引退)が1㌔TTの代表に選出された。95年4月にプロデビューした新星・十文字は銅メダル。プロ選手初のメダル獲得で注目を集めた。

 アトランタ五輪直後のGⅠは8月の全日本選抜。宇都宮競輪場で開催された。五輪直後の開催ながら神山は決勝2着。神山がゴール直後に〝優勝した!!〟と勘違いしてガッツポーズしたシーンが記憶に残る。

 栃木の神山、茨城の十文字は茨栃ライン。デビュー2年目で徹底先行型の十文字の番手を神山が回るのは自然。96年10月の寛仁親王牌で2人がGⅠ決勝で初めて連係した。十文字の先行に乗った神山が抜け出して優勝。神山の6度目のGⅠVは〝アトランタライン〟の誕生だった。

 同11月の小倉競輪祭は神山が吉岡稔真(福岡=引退)との「東西横綱対決」を制して優勝。競輪祭連覇を果たした。「グランプリ96」は〝アトランタライン〟で有利に見えたが、6人が落車するアクシデントもあり神山は2着。優勝は小橋正義(当時岡山=引退)。そして吉岡は落車後に再乗して4着。96年の取得賞金順位は1位が1億7840万円の吉岡、2位が1億7440万円の神山。その差は約400万円。吉岡の落再4着もまた〝歴代賞金王〟の競輪史を左右した。

 ◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の62歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビュー戦から見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。

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