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【記者コラム】宿口陽一が14年ぶり一発ツモ

 20日決勝の高松宮記念杯は宿口陽一(37=埼玉)のGⅠ初優勝で幕を閉じた。GⅠ初の決勝で優勝の快挙は07年の飯嶋則之(栃木)以来。平成以降(89年~)では6人目の〝一発ツモ〟の勝負運を見せつけた。
 
 1人目は91年3月・一宮ダービーの坂巻正巳(引退)。当時はテレビ中継も場外発売も限られていた。私は会社のテレビで食い入るように見た。坂巻は同期の鈴木誠(引退)の番手回り。鈴木誠の先行を金田健一郎(大阪)が捲ってくると鈴木が金田をブロック(鈴木失格)、坂巻が抜け出した。この一戦は中野浩一(引退)と井上茂徳(引退)が別線勝負に出たこともファンの注目を集めた。
 
 2人目は99年11月・小倉競輪祭の小倉竜二(徳島)。競輪祭3連覇の実績がありホームバンクで人気を集めた吉岡稔真(引退)を小倉がゴール直前で差した。小倉が「練習している」というハンドル投げは華麗なフォーム。以降、ハンドル投げをする選手が増えた。
 
 3人目は05年6月・高松宮記念杯の村本大輔(引退)。先行勝負に出た武田豊樹の番手から追い込んだ。
 
 4人目は06年6月・高松宮記念杯の山崎芳仁(福島)。番手が兄弟子の佐藤慎太郎(福島)だった山崎は「兄弟子のために」と500バンク(当時はびわこ競輪場)を果敢に逃げた。〝佐藤優勝か…〟の展開も山崎が強じんな粘りで押し切った。この優勝から山崎はGⅠ9勝を飾っている。
 
 5人目が07年9月・高知オールスターの飯嶋。師匠は神山雄一郎(栃木)。師弟でのGⅠ優勝は吉井秀仁(引退)と鈴木誠、そして金子貴志(愛知)と深谷知広(静岡)がいる。
 
 最後に私の勝負レース「5車の結束」が2日目青龍賞で決まった。新山響を先頭に小松崎―山崎芳―佐藤慎―竹内智の結束。これは3番手の山崎芳、4番手の佐藤慎の格と存在感が大きい。〝突っ込めるレース〟があるから競輪は面白い。
 
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の58歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に小橋正義(引退)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋35年目。勝負レースは5車の結束、番手捲り、競り。