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【記者コラム】小学時代に片道50㌔!!木村の深~い自転車愛

 7月から本デビューし、各地で暴れ回っている119期。脚力で圧倒するだけでなく、養成所時代に「ラインで決める競走の大切さを学んだ」と口にするように、後ろのベテランを連れてくる先行が多く感じる。そんな未来明るい69人の中で唯一、ゴールデンキャップを2度獲得したのが木村皆斗(19=茨城)。その強さ、速さを支えているのは自転車への深い愛だった。
 
 ルーツは小学生時代。「家から50㌔くらい離れた遊水池まで1人で自転車で行っていました。5時間くらい掛かりましたね。カバンにパンだけしか入れていなかったので、死にかけましたけど(笑い)」。相棒は親に買ってもらった、普通の子ども用自転車。またがれば楽しくて楽しくて仕方がなく、どこにでも、どこまででも行けた。そこからどっぷり自転車にハマっていった木村少年は「自転車部のために」と名門・取手第一高校へ。トラック、バンクを周回し続ける中距離種目のスクラッチで国体、インターハイを制覇。確固たる実績を引っさげてプロの門を叩いた。
 
 乗ることだけが好きというわけではない。レースが終わると検車場に残り誰よりも自転車を整備している。「チェーンの油の種類だけではなく、その指し方からこだわっている」。丁寧に丁寧に油を差し、まるでわが子を愛でるようにきれいに拭く。「大きくは変わらないと思うが、少しでもという気持ちです。この小さな積み重ねがゴールデンキャップを獲れた理由だと思っている」。〝勝負の神は細部に宿る〟。誰よりも大好きな自転車を大切にすることで強くなった。
 
 「天職だと思います」という競輪選手の一歩を踏み出した木村。もう後戻りはできない。最終的な目標という「グランプリ優勝」へ。愛する自転車とともに、ひたすら走り抜く。
 
 ◇渡辺 雄人 (わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の26歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。愛犬の名前は「ジャン」。最近、松岡健介(43=兵庫・87期)のオリジナルインナーシャツが気に入り購入した。

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