7月から新しい期がスタート。前期、成績が良かった選手、悪かった選手も〝新期一転〟と気持ちを入れ直してレースに臨む。今回はそんな今期に注目したい、偉大な兄の教えで成長を遂げる〝弟レーサー〟を紹介。
まずは吉田有希(19=茨城・119期)。6月にGⅠ高松宮記念杯の決勝で2着となり現在賞金ランキング9位と絶好調・拓矢(26=107期)の弟だ。高校から自転車に乗り始め、養成所ではゴールデンキャップを獲得した逸材。日々、師匠でもある拓矢とトレーニングを積む。「そばにS1の選手がいるのは恵まれている。ピリッとした空気感があるし、兄というよりは師匠。集中していい練習ができている」。その二人三脚の成果を地元・取手の本格デビュー戦(5~7日)でいきなり発揮した。危なげなく連勝で勝ち上がると、決勝では2段、3段駆けまでありそうな別線を一蹴し完全V。力の違いを見せた。「最終的には兄と一緒にビッグレースに乗りたい」という夢の実現は、そう遠くないように感じる。
もう1人は平原啓多(36=埼玉・97期)。兄は言わずと知れたGⅠ7勝の康多(39=87期)だ。10年にデビューしてから11年間A級暮らし。なかなか花開かなかったが、前期の終盤から変わった。「余裕から違う。街道で練習していたが、それでは厳しいと気づいた」と話すように練習環境を変えた効果から、前をバンバン抜き始めた。さらに「バンクに行けば兄貴もいる。乗り方、セッティングを見てもらっている。以前はそれをモノにできない感じがあったが、今は手応えがある」と超一流である兄の教えを体現できるようになった。初のS級はもうすぐそこまで来ている。
兄であり師匠。気心知れた最高のお手本とともに急成長を遂げる弟。そんな2人から目が離せない。
◇渡辺 雄人 (わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の26歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。愛犬の名前は「ジャン」。前橋FⅠ(1~3日)では、法大の大先輩・斎藤登志信(48=宮城・80期)の19年9月以来のVにしびれた。
【記者コラム】急成長の〝弟レーサー〟2人に注目
2021/7/8