ニュース&記者コラム

【記者コラム】新車とともに〝柴崎淳第2章〟

 3年前、GⅠ初冠に最も近い男としてビッグ戦線を盛り上げていた柴崎淳(35=三重)。20年9月のGⅡ共同通信社杯(伊東温泉)での落車で腰椎骨折。選手生命を脅かすほどの大けがだったが、驚異の回復力で3カ月後の平塚で戦線復帰を果たし、その2カ月後には小倉で完全V。6カ月後には福井協賛GⅢで優勝。はたから見れば順調な回復ぶりだ。しかし練習の強度を上げるたびに腰への負担も増す。実際にはこの2年間は快方→再発→快方→再発の繰り返しだった。
 近々では今年7月末の松阪スポニチ賞で優勝。人気投票枠で出場権を勝ち取ったオールスターへ最高のリズムを築いたが、大会直前のPCR検査で新型コロナ陽性判定を受けて無念の欠場。8月初頭といえば1日の感染者が過去最多の25万人を超す、第7派のピークだった。いくら感染対策を講じても、感染するときは感染する。普通に経済活動を行う人々にとっては、むしろ感染しなければラッキーぐらいの感覚だった。
 「GⅠを走ることを楽しみにしてたけど、こればっかりは仕方ないですね」
 幸いにもほぼ無症状で8月末の小田原記念で復帰。結果は2次予選敗退。上位戦で戦えば戦うほど課題点は見つかるものである。
 「以前の体にはもう戻らないと思う。実際、今までのフレームでは窮屈で体が沈み込まない。だから踏み出しは良くても、最終バックからの伸びがない。昨年のうちに今の体に合わせた大きめサイズの新車を頼んだんですけどね」
 完治しない腰痛とは今後もうまく付き合っていくしかない。ただ天性のダッシュとレースセンスは今もなお健在。現在の体に合わせて作った新車が届けば、状況は必ず好転するはずだ。
 メーカーとカラーは同じで見た目では分からない。いつ届くかも未定。頼みの綱はコメントだ。しばらくFⅠ戦続きだが、もし「新車」というキーワードが出れば、それは柴崎淳第2章の始まりを意味する。注目してほしい。

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