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【記者コラム】村上義弘氏が明かしたGI兄弟ワンツー舞台裏

 今明かされる歴史的名勝負の舞台裏――。

 昨年10月に引退した村上義弘氏(49)が松戸記念2日目(8月27日)にトークショーを行った。そこで10年松戸・日本選手権競輪の決勝を回想。弟の村上博幸が兄の義弘氏を差してGⅠ初制覇を飾った感動の一戦だ。GⅠ決勝(4日制以上)での兄弟ワンツーは34年ぶり2回目の快挙。その裏話をレジェンドが明かしてくれた。

 先に決勝へ勝ち上がったのは博幸。直後のレースを控えていた義弘氏に近寄ると「すれ違いざまに〝お兄ちゃん頑張って〟と言われた」。その一言で兄の魂はメラメラと燃えたぎった。「自分が頑張れば日本選手権という大舞台の決勝で弟と走れる」と集中力を極限まで高めることができたという。

 義弘氏が決勝へ駒を進めGⅠ決勝での兄弟連係が実現。義弘氏は「当時の博幸はマークに変わりたてで特に評価される存在ではなかった。でも〝お兄ちゃん、明日は俺が前で頑張るから〟と言ったんです」と弟が前回りを志願したことを明かす。ここまでは感動のワンシーン。だが続きがあり「その目が完全に嘘つきの目だったんです。子どもの頃から見ている嘘をつくときの目だった」と義弘氏は笑いながら思い返した。

 義弘氏―博幸の並びで博幸がV差しを決めた裏にはこんな秘話があったのだ。先行した義弘氏は「4コーナーを回って弟が並びかけた時に抜かれることは分かった。ゴールした瞬間は兄弟、家族に戻り、ウチの弟が日本一になりやがったな、と。うれしかったですよ」と、まるで昨日のことのように話した。

 記録と記憶に残る思い出深いダービー決勝。義弘氏の軽妙なトークをメモしながら聞いていたが、気づくとペンが止まりファンと一緒に13年前を懐かしんだ。

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の39歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。村上義弘氏が初めてGⅠ制覇を飾った02年岸和田・全日本選抜は落車救護員としてバンク内側から見ていた。

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